住人の三、二、一と消えていく二階の奥に住んだ六年
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今日も詠む ことばあそびが好きなんで ひとりあそびも大好きなんで
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雨音のとだえし夜半の闇の奥虫の音きけば秋ふかまりぬ
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曼珠沙華ほのかに紅き蕾して遠く流るる雲見上げおり
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太古より変わらぬ色の暗闇に浮かぶ顔、顔、スマホ視る顔
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「忙しいところをどうもすみません」 いかんしまった また言わせたか
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甘えん坊ニヒル妖艶上から目線猫族やけに人間に近い
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惨憺と臓腑あらはに折れにけり野分すぎにしのちの松の木
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きっかけは 「好き」じゃなくて 「嫉妬」だった でも今は「自分」になっている
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歌を詠むサイト三つとエッセイに虫の音が添う秋の夜かな
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インスタで一番いいねがついたのは胡瓜を散歩させるおじさん
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おい短歌 立たんか啖呵切ったんか 単騎で来んか 点火させんか
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色づいた木の葉を透いて冬の陽は山茶花をあかるく照らしだす
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くちびるの桃色にこい空の下チクタク回れ春の訪れ
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あの頃を思い出すのよ午後三時せんべい2枚食べたっけなぁ
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わたくしと結ばれていた君の影切り取り妻にお返しします
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突き放し消え去っていくプライドとしがみついては離れぬそれと
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端々に嘘も方便なんとなく貴方が小さく小さくなって
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窓からは差出人のない手紙癖のない字は自覚なき毒
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ありったけ人を愛して生きることあなたにとって歌詠むことは
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終りに苛まれているいまは浅くながい眠りのような雨です
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セックスは自分がキモチワルくないことを確認したくてするの
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欲望の切磋琢磨を目指すんだ 人とロボット 共に彼方かなた
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独り身の降伏圧がまた一つ「出席」ごとに記録されゆく
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雨粒が夏の名残を溶かす夜わたしは私抱きひとり寝る
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ああわたしたぶんばかりをつみ重ねにせバビロンが風にくずれる
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日常はきっと自然に戻り来る その勢いに身を委ねたい
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鯉などのゆっくり泳ぎゆく池のめぐりをもっとゆっくり歩く
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揚羽蝶はばたきをやめ降りてくる風のながれのそのままの軌道
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コスモスの雑多に咲いた庭の辺に夏の盛りは遠ざかりつつ
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