建前と本音の溝は埋め難く オリンピックは汚されていき
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恩讐を超えて究める剣の道 「六三四の剣」を久々に読む
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溶かすからそれでもましか偽の春また行くのかい今日道白し
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「ふ」と打てば「冬」より先に出てくる名 今は遠くのあなたを想う
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風つよき冬の日 街路樹の葉が手裏剣のごとく飛びくる
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たくさんのおまじないして過ごしてたあの頃 何を願ったんだろう
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どうでもいいがこの部屋に隠れ棲むコンタックスとプラナー姉妹
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ひっぱられズルズル伸びたフイルムはむやみやたらに光っただけだ
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振り返り何かあったような日は見掛け倒しの張りぼてが立つ
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配属を待てど暮らせど黄泉の国やがて譲らんアルビノの仮面
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寿に幸せ運ぶ風になり忘れてしまった僕の面影
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高速の帰りの灯とか夜影とかどうでもいいことばかり残って
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もういいよ 誰でもあげる この命 だから代わりに 責任負って
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ナンバーワンコンタクトレンズ調査した目を合わせたら逃げたいのは白
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夢重ね 重ねて重ね 日々重ね いつしか夢は 妄想になる
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階段を 下ればおれも 戻れるか グリコに夢中の あの頃に
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好きな人 好きだった人 好きなまま ひとつになれず シングルのまま
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タヒたいと 宣ひながら ぼくはゆく 腹が減ったで 吉野家へ
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苗字から名前に変わるあの瞬間に全てが詰まっている
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大丈夫と言い聞かせる度に大事なものがすり減ってしまう
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受け取ったプリント越しに伝わった君の気持ちは私と同じ
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猫二匹画面を撫でてなんですかと不満げ返すスマートフォン
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月がきれいですねと言いたい そのために寒空の下飛び出す夜だ
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コツコツと楽しい思い出ためてゆき 走馬灯を彩りたいのだ
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不器用な左手と嘘をつらぬいて今すぐ泣けと頬打つ光
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あきらめぬ 心が救う 奇跡とは 闇に輝く 光に似たり
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信じれば 寒肥が腐り 草花の 若芽となりて 緑が覆う
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殺伐と している土地に 花が咲く そういうことが あるから不思議
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春なのか もう春なのか もうなのか やっと抜け出す もう冬は嫌
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今朝だっけ フロントガラス 濡れていた 氷じゃないよ 水だったから
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