軽い近視だから十六夜月いざよいの欠けとかあなたのこころとかが視えない
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突き抜ける空の青さと蝉の声 あの日と同じ朝が始まる
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疲れたよ 白髪まじりのあなたから言われた言葉 なにも言えずに
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組み敷いた僕睨めつける君の目と僕の目どちらが獣じみてる
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短命の 我が生き様を 見せつけて 木立ちを揺らす 蝉しぐれかな
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好きだよと言えば僕から離れてく その確かさで黒板を拭く
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休日の暇な時間を昼寝する無駄とはなんて気持ちがいいの
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教室の隅の青春をセピアにはまだできずに机の下で
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読めるのに書けない漢字増えてきて書くことさえも忘れ去られて
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ダメになる前に食べてね人体もナマモノだから冷やしておいて
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潮風を吸い込み頬張るおむすびの こっちが梅かそれとも昆布か
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チョコミントアイスが溶け落ちる前にこの世で最後の恋に飛び込む
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ここからはあたらしい朝、孵化をした君が光にさらわれる朝
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だいすきだ!それだけで人は死ねるし現に私も三回くらい
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稜線を白く縁取る遠き峰 オリンピックに夏空の青
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「深夜って何時までなの?」「そんな事考えないでいられるまでよ」
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えらいので 明日のわたしのためだけに サンドイッチを作っておきます
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花柄のカバーをつけていいですか クッション言葉のまだ遠い距離
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ジュリエット 私をその名で 呼ばないで あなたのそばに 永遠にいたくて
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蝉しぐれのように聞こえる校庭の全校集会前のざわめき
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「長野はさ、りんごがおいしい?」シードルのコルク抜きつつ反芻する夜
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つりがわを握る電車のなかでなら一人でいても孤独じゃないさ
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赤い糸の耐久性の実験をしてる浮気は許せないけど
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枝豆が分解をするアルコールの成分みたく消えろ 失恋
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ダイニングテーブルに積む一月ひとつきの新聞分の恋をしていた
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瞳から光が消える瞬間の冷たい情熱分けてください
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少しだけ肉感が去るほっぺたに君が大人になる夏を見た
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縄跳びがうまく跳べないあの娘でも短所は何度も繰り返してる
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蜂の巣を駆除して貰う1日の胃に根づいた悪性の癌
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話しかけ暗い顔する上司いて一人つぶやく花いちもんめ
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