この距離もいつか日常に溶けてゆく ガラス越しでも愛は語れる?
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しばらくは裸の心に蓋をする乾くまで貼る滅菌テープ
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アドバイス愛を小分けにしておいて死にたいときにひと粒舐める
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どこにでも行けると画面を開いては一歩も動けぬ夏は虚しき
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帰り道目が合うだけで赤くなるそんな初心さに帰れやしないか
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熱中症チュウする人もおらなんだ初めてでもないくちびる乾き
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ビル群の中に四角の夜空地帯 今日はくじらが溶けた紺色
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トビウオの羽が波打つ音を聞く 夢では気づかぬ長いまつげよ
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ビー玉を覗いたブルーモーメント ずっとあのまま きっとこのまま
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ただ今日はなにでもない日あの夏もなにでもない日ひかり降る朝
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おとうとがいなくなってもなめらかにわたしをお姉ちゃんと呼ぶ母
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Withコロナ心の平穏保つためただひたすらに流しを磨く
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ライヴ前にパンダマンは目の周りを黒く塗るのですずりを買う
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差し伸べた手は柔らかく熱かった 「優しさは強さ」と君は言う
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夏色の達成感を抱きしめて涼しい部屋で今日は眠って
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掃除して読書して寝て飯くって寝て散歩する八月九日
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見つめ合う ただそれだけで 今日はいい 心の扉 開け放ちたい
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夏休み帰省できない娘への お野菜お米 愛も送るよ
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小利口な口上ばかり上手くなり喉仏には恥といふ文字
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盆帰り先祖は何を思うやら子も孫も来ぬ迎え火に
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半休の朝畳の上に寝転びて独り本読む八月六日
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レジ待ちの列の間をぬうように猫は歩いて出口を目指す
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折り返し過ぎた人生ルビをふり隠し通せば嘘も方便
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断われぬ 見合い話を 告げたあと  僕の背中で 泣きじゃくる君
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角灯ランタンの 燐光仄か 通草蔓あけびづる 雲の揺れ揺れ 月朧つきおぼろなり
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法皇よゆるされるならあと一度、一番ひかる星を教えて
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窓見ればカーテン越しの月明かり常夜灯にて眠気を誘う
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たましいは売られて枯れた草原にライオンばかり走り出してく
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耳につく軽い冗談軽い嘘それでも好きだこれでいいだろ
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空き地にてWiiではあり得ぬ友の情「やめろよ磯野」と中島がいう
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