夏は暑い何もする気にならぬほどでも冬よりましと思い我慢す
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いにしえの約束がいま果たされて俺たちはもう離れやしない
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遮断器で区切られている十五分過ぎる表裏をふたりで見てた
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悲しみをどうぞ旨味にしておくれあの娘に作るカレーライス
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梨の実に刃を入れていく感触でまずは味わう旬の歯応え
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君のため ラムネの切手を選んだの おそらく君は 気づかないよね
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夏は暑い夜は眠れぬ口笛を吹きつ夕暮れ散歩してみた
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灼き付いてしまうねこんな暑い日は たった一度のくちづけさえも
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帰省後はあれもこれもと考えた献立悲しまたの出番に
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恋しさが溢れ出しては感傷に過ぎないと言う臆病者が
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君のように誰かを救ってみたかった (……自分自身すら、救えないのに?)
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宇宙船通勤風景思わせる大江戸線の乗換通路
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行ってらっしゃい その一言で 一日を 頑張る僕は 単純明快
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指先の成層圏をすれすれにして切る爪の白と肉色
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イヤホンを外した後にエアコンの音が大きく聞こえる夏だ
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抱きしめてそのままとけあいたいなんて思う 融点35℃で
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君思う 中に一日 過ぎてゆく 誰が名付けた これが恋だと
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飼いイヌが行方不明になったけどご飯食べてる 涙はでない
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牛鬼うしおにはわれりたればこの里は安かりたらむとぞ言いためり
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ひょろひょろで無口なきみは元人魚 お風呂で船を沈めてあそぶ
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青いじゃんそう笑ってた君の舌 真っ赤に染まりつられて笑う
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Withコロナ国は安易に言うけれどwithはあなたと使いたかった
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庭先にエサを求めて来るセキレイ 私の不安もついばんでくれ
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寝をしても起きるをしても偏頭痛 夜が明けても頭痛は頭痛
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只二ただふたつ 西洋筆ペンと落ち葉が 拠り所 書いても見ても 自分感じる
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一本の 氷菓アイス咥えて 一人待つ 駄菓子屋の側 ベンチに座り
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‪才能が欲しかったけど嫌われる才能ならば欲しくなかった‬
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喧騒と昼の放送聴くふりで君をみている一時十分
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僕の手を 握り返して 来る君の その指たちが 好きと囁く
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少しだけ教えてください君のこと 「好き」はいくらで買い取れますか
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