キツい日に 穏やかですと 書く手紙 届くころには 越えていたいと
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気に入らぬ皿を投げ割る猿の子を抱きしめて殺したくなる冬
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愛一つ無きを悟りて断捨離す これで残るは脳の内のみ
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カラスさん 外でカーカーいっている ねこたち起きて カッと目を開く
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明日あすのこと おもいわずらい 日が暮れる 今日という日が もったいないね
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手の上の豆腐に包丁入れるときあるいは母の子宮を出たとき
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不真面目になった一限をサボった二限もサボった今日もただいま
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「まぁお前 精神年齢オトナやな」自覚はないが悪い気はせぬ
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秋雨のシャワー浴びたらイケメンに すみっこに居たのっぽのススキ
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大き鉢にレモン植え替え る土の てのひらせいの温もり
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わたくしの地獄をつまりと一行でまとめる人の顔の涼しさ
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朱鞠内生まれ氷点下育ち玉置浩二のファンみな友達
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昨日まで押入れ暮らしだった君 愛しく取り出す 薄羽毛布団
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運命は 君ではないと 知りながら 振り向かれたら もう動けない
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確かあの時君 雪にはしゃいでさ 今じゃ哀しみ 降り積もるだけ
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憂なく待機していても急に来る ブーツ、ジャケット、タイツが主役
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秋竜胆むらさきそみて衣手になだれうつ信仰篤き隣人とわかれ
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基督に酢は澄みかへり受難曲愁嘆場より青年離れ
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隣人は敵ほろぼせるまで互みにも解釈違ひの黙示録誦す
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はるかなる他者のうちにて戸を叩く「われを識るものここにもおらず」。
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戦争に秋深まりぬ咲き及ぶ石蕗の先しがみ付く蟷螂
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たがための瞋りならむか葉鶏頭襤褸にて立ち枯れぬガザ報復
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修辞さへ前衛さへなき簡単で啖呵をきつてくれるな餓鬼よ
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考えるさてどんな服着てたかと十一月の陽気と言われ
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殺せども罪にはならず生欠伸 切って褒めらる庭の生け垣
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丘で見る真っ赤な太陽海に入るジュンと音するよとそばの母
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あしたには緑肥にならんひまわりの鮮やかな黃の今朝は哀しく
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トレンチに穴の現る丘の上に いにしえ人の猪のわな
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抗ってみせるよこんな結末でピリオドなんか打たせやしないと
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稲刈られ四方に散りしいなごたち今夜のすみかは如何にとやせん
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