おもてなし裏が見えては台無しに心ひとつで返るは我が身
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高層ビルの間に沸き立つ夏雲を崖から見下ろすこの街で生きる
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どうすれば好かれるのかと考えて好みでもない服を買ったり
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今日切れる期間限定ポイントでこの夏空を買ってしまおう
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教室も猫背のあいつも無事だった さよならぼくのノストラダムス
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寝て起きて忘れたものが僕の敵、馬鹿みたいでしょ?って笑おうか
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不穏なる普段忘れているものは、ここにないからどこにでもあって
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喧騒と ざわめきのなか ひっそりと 貴方と目が合い 心拍上がる 
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疲れたら 君に頼むよ 膝まくら お返しあとで 腕まくらだね
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吹き抜けの窓からのぞく半月が らしく生きよと僕にささやく
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太陽に当ててあげようベランダで息するように並ぶ革靴
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蝉時雨聞こえなくとも衾越し夏の大気が押し寄せる朝
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自転車のトップスピード駆けていく君はどこの子夏の申し子
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水族館と聞いて想像した通りの色の光を映す固まり
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血液が少しずつ管の中を動くたび冷たい床が揺れるのを聴く
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歌の中 ひそかに隠した『愛してる』今から拾っていかなきゃならない
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本当に 何も理由はないんです 今ならわたし 飛べるかなって
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やり過ぎているがやめれぬことこそを身を切るように諦める愛
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この夜から月が消えても構わないあなたが居れば迷いはしない
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桃色の一筋すくい妹の麺つゆに入れてやる夏盛り
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いざゆかん清く楽しい人生は脚本主演・私で参る
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もう二度と帰らぬ夏を思い出し有り得たはずの夏を夢見る
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追いかけた 夏空を背に笑ってたあのこが消えた屋上の向こう
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膝小僧ふたつ浮かべて金曜日、化石海水の風呂はあたたか
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しとしとと何処にも行けぬ鈍色の文月がほらもうすぐ明ける
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花火の色は炎色反応だと教えてくれた君が好きでした
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僕の好きな色はね天気雨の色 色の名前はわからないけど
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詩情さえ置き去りにして消えるなら代わりにぼくが李徴となろう
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目上げたら空がシトラス色っぽいシトラス色は知らないけれど
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「他の人誘ってますか」 文字だけの予防線さえ青く痛くて
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