雪国の夏は短距離軽やかな秋光のもと新刊をひらく
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私たちが出会った世界は消えました みたいな感じで他人になりたい
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寝過ぐして白き床にて鬱ぎたる時に猫きてわれを見つむる
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ひさかたの天より降れる光さへ包む能はず誰かのこころ
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すきとほる心持ちにて生まれ出づる歌といふものけふを包めよ
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性癖にぐっさり刺さる短歌見て 作者を見たらお前なんかい
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秋まつり 秋刀魚の踊る 網の下 団扇が炭を 煽り怒らす
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僕たちの熱い心と冷えた脳 どちらかだけにならないように
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I am a girl.だなんて言いたくて英語習いに来たわけじゃない
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眺むれば半月の放つあを白き影にとけこむつぶやきの時
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白き影はばたかせ空にあらはるる独りと独りをつなぐる小鳥
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つぶやきて一喜一憂するあをき惑星をけふも小鳥めぐりぬ
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限られし字の縦書きにあらませば心さやけく伝はらましや
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小鳥たちあをき果てよりほの語り空にうつりし声ぞわすれぬ
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安全に夜を越えられるのを待ってたら冒険心が褪せてしまった
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‪何よりも甘く美しいまじないをあの日あなたにかけたかったのだ
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夢うつつ 見える景色が何方だか わからず焦る午後のひととき
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目を瞑りいつかいつかを夢みてた そうして過ぎた 時は金なり
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午前四時、機械botばかりのタイムラインまるで世界が終わったみたい
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食欲の秋とはよくぞ言ったもの 肥ゆるは馬じゃなくてわたくし
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いま僕が辛く感じるこの気持ち 大切にして誰かの横へ
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そよ風の 吹き抜く部屋の 竹簾 外の酷暑も 知らぬ存ぜぬ
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豊穣の ハレの日飾る 鈴の音は 氏子も神も 聞き惚れるなり
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満つ月の に思い馳せ 餅食えば 然るに美味し 秋の縁側
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火の用心 から風抜ける 庭先に のろしを一つ 香る秋色
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嗚呼、夜が美味しい季節になったねと電柱は高いところで息する
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朝焼に 染まる道路を 吹く風は あの夏の日を 遠く飛ばした
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麦藁の 小さく大きな あの背中 一生分の 夏を見ていた
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晩緑や いつしか蝉の声も枯れ 稲穂がそっと秋を囁く
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蝉鳴いて香る朝風窓の外遠く聞こえるラジオ体操
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