一夏の花なりたい来世には 来るたび夏は感じなくなる
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夢を見るいとまも無いほど懐かしい右目からのみこぼれる海水
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コスモより ゆらり煌めき降ってくる 幾千星と君のLINEと
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ひらがなに牙を抜かれた「ぼうりょく」は白髪交じりの猫にはにかむ
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栞紐 大海原に放り投げ手繰る言葉は潮に任せる
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三階の渡り廊下で反射する金色こんじき見上げ浴びるファンファーレ
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傘を忘れた嘘をついてもいいし止まない雨があったっていい
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厚切りの フレンチトーストに しみるメヰプル よもやまごとも 飲み込んでくれ
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夏が来て消せないメール開くのはあなたを知らぬ親指の爪
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傷口は癒えていないの今もまだ そっと布で覆ってるだけ
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あぢさゐの花にこころをたとへまし憂しと見し世のうすむらさきの
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日に火照る赤い唇に包まれてとろけて消える白のうずまき
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横の子に貸したノートが連れてきたふせんの熊とありがとうの字
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耳元で君とつながるおやすみと言えないままで朝を迎える
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「また明日」次の約束結ぶよりまだこの今日が続いてほしい
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おはようが 絶えず飛び交う 雑踏に 君がすとんと 舞い落ちた奇跡
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「これがぼく!?」にはならないさ 覗き出た変身願望そっとしずめる
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青くては駄目なのケーキ作るには旬に向かってばななは腐る
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明日がある それは希望で絶望で、いいと言うまで手を繋いでて
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君と寝て死んでいけたらそれでいい 貯金してたら嘘っぽいかな
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おそろしくやる気の出ない毎日をやり過ごすうちゾンビになった
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‪特大のてるてる坊主になろうか海になるまで雨はやまない‬
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夕映えのそよぐ植田に白鷺の舞ひ降る影のすがた麗し
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薫風の真中にありし乳母車すやすや幼子木漏れ日すがし
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ファミレスで 例えば深夜になった時 例えばだけど キスしてみないか
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夏の海はじける青春焼き尽くせ どうせあたしは図書館通い
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天上の穴から覗くかみさまと今日も夜空で待ち合わせなんだ
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恋すてふ捨てたあいつの面影にひらり舞うのはもう止めにしたい
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右左 スワイプする度 埋められる? 心の穴と 貴方の残像
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暴風が顔面撫ぜる夏なのに開け放たれた地下鉄の窓
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