月が溶けバターのように地を覆い夜空は月がないだけだけど
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消灯を過ぎて流れ込む外気の切断された植物の匂い
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今日未明心に靄が立てこもり以前現場は膠着しています
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心のざらつきが取れないまま、ただネットの海で泳ぎ疲れて
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インカメラ 鏡の代わりに 起動する 映るのはただ 気怠気な顔
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ゆびきりとまぶたへのキスをすませたらはじめようロシアンルーレット
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記念日はお気に入りの皿を出してた君の骨格そらでなぞれる
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蝉の音に視線上げればいつまでも目蓋の裏から消えぬ夏空
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扇風機の風量一巡早く「強」から逃れたい ボタンを連打
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日傘さす ありがたみを今 思い知る。 両手塞がり 買い物帰り。
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天国へ行きたいですか? はい/いいえ/どちらでもない/お試し希望
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膝の上陽だまりできて君からの手紙置いたら向日葵になる
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犬を見て「いぬ」とだけ言う君に私は「ひと」か「おんな」かを問う
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おもてなし裏が見えては台無しに心ひとつで返るは我が身
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高層ビルの間に沸き立つ夏雲を崖から見下ろすこの街で生きる
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どうすれば好かれるのかと考えて好みでもない服を買ったり
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今日切れる期間限定ポイントでこの夏空を買ってしまおう
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教室も猫背のあいつも無事だった さよならぼくのノストラダムス
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寝て起きて忘れたものが僕の敵、馬鹿みたいでしょ?って笑おうか
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不穏なる普段忘れているものは、ここにないからどこにでもあって
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喧騒と ざわめきのなか ひっそりと 貴方と目が合い 心拍上がる 
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疲れたら 君に頼むよ 膝まくら お返しあとで 腕まくらだね
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吹き抜けの窓からのぞく半月が らしく生きよと僕にささやく
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太陽に当ててあげようベランダで息するように並ぶ革靴
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蝉時雨聞こえなくとも衾越し夏の大気が押し寄せる朝
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自転車のトップスピード駆けていく君はどこの子夏の申し子
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水族館と聞いて想像した通りの色の光を映す固まり
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血液が少しずつ管の中を動くたび冷たい床が揺れるのを聴く
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歌の中 ひそかに隠した『愛してる』今から拾っていかなきゃならない
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本当に 何も理由はないんです 今ならわたし 飛べるかなって
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