コロナ禍の 前からすでに ステイホーム ずっと前から 緊急事態
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ビクビクと キーを叩けば 戸が開いて 厳しき妻の 査定が入る
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はつこいの苦々しさにはちみつをかけてどうにか飲み込む檸檬
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出まかせの 言葉数だけ 多けれど 言いたきことは ただ一つだけ
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意見など 趣味も好みも 顔かたち 違いて自然 慌てるなかれ
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ベッドには 人からもらった「いいね」だけ 散らしてみるも 夜は眠れず
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個性あり 豊かな違い 認めれば 多様性から 恵みを受ける
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プールぎは ストレリチアの鳴く声が 揺らす水面の 四時三十分
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粒ぞろい 同一規格 求めれば はみ出し品は ゴミ箱行きに
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天才は 凡人たちに 嫌われる 理解を越えた 異端の権化
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人として 優しくもあり 誠実に 接していれば 幸せが咲く
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労働は 心次第で 罰となり 喜びとなる 生きてゆくにも
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蜜なるか 人の不幸も 吾の幸も ぜんぶ嘘だね ひたすらに無味
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ふしぎだね 歌もお菓子も愛でさえ 救えない夜 円窓に月
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夢の中 北緯三十八度でも カノープスはいた 手招いていた
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先生はユニコーン狩りの時にだけ憐れをかけるハンマー持って
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携帯の画面も覆っているのだろう肉眼に見えないものたちが
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夢破れ過去になりたる練習の今では唯一残る傷跡
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ほしい本の数だけ逃げ込める世界を求めてるのかもしれない
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頑なに張った心身なんてのはすべて湯船にとかしてしまえ
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繕はぬ 数多あまたまう梓弓あづさゆみは 引かれぬままに 忘れ去るかも
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地下鉄の窓に映った美しい人を見るため体をねじる
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レモンはさ、いいよね。ギロチン落とされた首の断面すら映えそうで
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記憶とはまばたく裏のプリズムに浮かぶ写真展。だから信じない
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名も知らぬ花をひとひら見つけたり 言の葉かけて小さく揺れる
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暗い顔 しているうちは 陽は差さず 笑顔の上に 太陽は照る
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孤独など 吹き飛ばすほど 元気なら 他人の心に 火さえ灯せる
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誰にでも 声を掛ければ 老人に 生きる喜び 湧き上げるかも
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言葉さえ 何一つなく 呟かず 黙っていては 人は陽炎
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望みなく 戦うことも 忘れ去り 風になびけば 人は陽炎
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