悲しみを 背負いし人は 黙々と 十字架担ぎ 丘に向かいて
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デロリマン 醜き者の 悲しみを 見事に描く 秋山ジョージ
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失いし 愛ある家庭 幼子の 心に残る 深きトラウマ
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哀れやの 愛されたいと 願いしが 愛するほどに 愛されぬもの
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耳元で 蚊の鳴くような 声で言う 私がいます ここにいますよ
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ぬばたまの黒背景に飛び交ひたるコードの心 いや遠そきけりあちこちに飛び交う文字列もう無理です 解読不可能 スパゲティーコード
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いちめんのボーダー柄の床のうえ針を投げては円を求める
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しきくうくうしきだというのならひとはどうして死ぬのだろうか
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ハザードを焚けばいいってもんじゃない どこ停めてんだこのバカップル
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吹き降ろす冷たい風が身に染みる 車は流れ横断できず
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お互いの理想で出来た中庭を見せ合うように花を選んだ
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どこからが空か答えを探すよう好きな理由がないままの好き
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帰路すこし聴きながらゆく傘の肌あたる雨粒たちのショパンを
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貧困はカラダココロも辛いけど、わたし前より幸せだよね。
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適切な言葉分からずお辞儀して帰る先代社長の葬儀
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公園でよその子見てたら母親が「変なおっちゃんいてるから帰ろ」
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ボツ短歌しか出てこなくてパチパチとリングノートを一枚破った
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チョコレート工場の稼働なくなりて甘きにほひの消えた二丁目
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初めての循環バスに無事に乗る 帰りのバス停違うんだけど
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死にかけの星を包んだチョコレート ひと粒ごとに夜が近づく
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適正な人類の数を決めてくれる人類以外の誰かが(いない)
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「何もしない」ことはできない生物としてCO₂など吐いている
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白無垢を着つねの嫁の出る門は青空ながら雨のふる寺
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たんたんたん狸の金の玉くしげふたつながらや風に揺るらむ
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佐保姫のころもはるさめうち烟る野辺はわらびやもえわたるらむ
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昔誰すみれの花のひとり咲く荒れにし垣に春風ぞ吹く
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絆創膏外して着けず アカギレの痛み和らぐ春はすぐそこ
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ご近所の最高齢の婦人からオカラいただくバレンタインデー
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義理だよと言い繕ったチョコレート奪って妻はバリバリと食う
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こつそり買つたハムカツ五枚食べきれず怒られるかと思つて捨てた
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