鳴り響く 目覚まし時計 キスをして 5分延長 繰り返す僕
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永遠はいらない冷えた君の手をあたためるだけ、あたためるだけ
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くるるよりきゆる椿をゆくへとて葉擦れのおとにまきれぬるかな
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蟋蟀こおろぎは死にぎわさえも冷ややかでユーモレスクを弾き去りてゆく
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きんいろのペディキュアを塗る 譲れない思ひのやうに足を抱へて
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食べちゃうぞ また食べちゃうぞ 食べちゃうぞ 箱入りパルムはヤバイ! 悪魔だ
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夜一夜仕事終わらぬ朝ぼらけ なんのこれしきなんて言えない
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ねこよねこ いまはどうしているのかよ さむくはないか はらはすかぬか
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もう出るか夢があるからそうするか休みの朝は夢がいっぱい
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あくせくと荷物を片付けている親 その隣であくびをしてる犬
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黒豆のあかむらさきの煮汁にてこころ染めたき夕しぐれかな
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歌なのか歌屑なのか屑なのか風にわたしてをしへてもらふ
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銃弾の白き瞬時をスローモー//ションにて描きう歩く街
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ひとりでに音立ち上がることば有り「関西電気保安協会」
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忘失のむこうがわから呼ばわりて「私は……et in Arcadia egoいますアルカディアにも
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凡詠も万重なれば非凡にてその鵬程は祈りにも似る
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夢の中でわたしは何千何億に分かれていつかひとりに戻る
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六年間過ごした校舎は今はなく行き先失くした郷愁の念
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ともし火とともにひらくる蜘蛛の眼に慕ひきにけり雪のささめき
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しゅんしゅんと湯は沸き立ちて冬の陽は殊更暖かく感じたり
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「もうダメだ」すげー滑った雪道で 生きているからこの歌がある
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努力して 報われなかった 結果でも その努力こそ 未来への道
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好きですと 言われたあとに 下を向く 君の気持ちに 僕も同じく
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旧姓で 呼ばれうしろを 振り向けば 初めてキスを した人だった
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いっときは 人と戯れ 忘れても 一人になれば 君思い出す
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浮かびくる桂の明き葉のまはりたゆたふ夢のまろき匂ひの
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薄紙につつまれてゐる白き死の日常性を透かして見やる
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この葉この葉ひらりひらりと夢に堕ちまた生まれむと朽ち果ててゆく
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惑星間難民支援協会から黒い目をしたきみが来た夜
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其々にそれぞれの理由ありきと念じながらも渡月橋
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