‪「あのひとに電話をかけて」「すみません」ありがとうSiri、まだ正気だよ‬
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この口をついて出るのはみんな嘘『あなたが欲しい花いちもんめ』
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ひととして喜怒哀楽で表せぬ感情だけを抱えて生きる
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宝石のかたわらにある石ころが価値を帯びたらかなしい
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お手紙を山羊が読まずに食べるのはそれが恋文であるときだけ
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幸せか 新たな傷かで 上書きする できれば『幸せ』であってほしい
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ダイヤより あの星よりも 何よりも “君の信用”だけが尊い
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寂しくて君の心をめちゃくちゃにしてやろうとし膝を突いたり
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死に体で水面ただようきみはだれまだ生きてるよ泳ぎはじめるよ
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大樺おおかんば足元の雪踏みゆけど稜線と空ガスのまた先
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独立の北の頂歩み出で見渡すどこも海、海また海
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「おじちゃん見せて」とかつて見上げた燕の巣 今年も雛が育ってる 店主が老いて閉めた魚屋 現在いまは床屋になったけれども
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日本海背負いて顔を上げ見ればクリスタルブルーの鳥海のうみ
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頂きを遥かに仰ぐこの道に雪渓のありレーニアの夏
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はじめての山行き心湧きたってザックも軽し水芭蕉のみち
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黒岳の頂きに立つ友と我 1984 標高年の夏
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重苦しい人間界とうらはらに草は伸びるし虫は騒ぐぞ
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一昨日の蜥蜴の尻尾が瓶の中ぴちりぴちりと跳ね回っている
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この窓は宇宙につづくプライベート風が来たよ来るもの拒まず
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雨孕む不機嫌な雲に飛び乗ってオリーブ咥えた白鳩放つ
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文字にして教えてほしい 例えば君の唇の柔らかさとか
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ほら君があんまり泣かないものだからとうとう雨が降ってきちゃった
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風呂上がり冷えた麦茶を一息に下戸の楽しみアイスと共に
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傷がつきやすくなってきておりますやわらかい布で拭いてください
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君がそう 自死をはかるのに 充分な メロディーと空が そこにはあった
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亡骸を指してねんねと呼ぶ吾子の寝癖がふわり君におはよう
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ふっくらと憂いを帯びた白蓮は波寄られてもなお人見知り
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とうめいになりたいきみの手を引いてひかりのあわいで押し倒したいよ
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抹茶アイス めっちゃ愛す君 バニラチョコ レバニラちょこっと 僕は好きやな
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さびしいと叫んでいいよここはもうだれもが去った白いベランダ
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