白きなる影の降り積む冬の日にことのはもただ白く降り積む
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ああ そうか 全部見切っているはずと 思うオレこそ罠だったのか
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轟々と水をかけても煌々と際限もなく君が燃える夢
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だいだいの絵の具搾りてそのままに見せびらかしの彩り秋は
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スカートを めくって逃げた 犯人は 姿見えない 透明な風
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真っ先に 頭に浮かぶ 君のこと やっぱり俺は 大好きなんだ
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僕だけの 小さな世界 机には 思い迷いが 埋め尽くしてる
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後朝きぬぎぬのツァーリ・ボンバにくちづけて相互確証破壊のしるしを
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君に逢えずなのになんだかホッとする 恋心とはわからないもの
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この街を水底に沈めたゆたへば泪の色も消えてゆくらむ
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よろこびの音知りてゐる老猫の朝な夕なの、鍋、瓶、器
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何となくぼんやりしてゐる月の夜の冬のぼんぼり灯してをりぬ
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うたかたよ大言海おほことつみ玉響たまゆらよ聲なきなみだ摘みとりて ゆけ
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君とおなじ名を持つ花の切手買い口づけをしてゆっくりと貼る
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辛い辛い 何が一番辛いって こうしてうずくまってることで
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あれこれと売ったお金で蕎麦を食う 要らないものでも我が身の糧さ
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朽ちていくかぼちゃを置いて経るときのはざまで終わっていないハロウィン
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これからは私の人生生きるのと落ち葉達舞う晩秋の風に
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青きインク薄きより濃きへ染め上ぐる天つなる空の一枚の夢
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ろごろごと喉鳴らす音にはこぶし効きいぶし銀なる老境の猫
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冴ゆる刃に身を晒しゆく冬野菜まな板の上にニルヴァーナあり
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木漏れ日に愛をささやき手をつなぎ歩くぼくらはリビングデッド
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よそ見する 僕の授業は 子供らの 脳の記憶に 残らず消える
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肩が凝る もうすぐ雨が やってくる 予言者じゃない リアル生活
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小さめの 傘であなたと 雨しのぐ ふれあう肩に 高鳴る鼓動
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やりたさは あるができずにうずくまり ついにやりたくなくなってきた
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銀杏ふる小径を走りぬけてゆくライオンのぼうし黄金に消ゆる
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うつすらと花いろに白き波を引きみづゑに解くる西風の空
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銀いろの合はせ鏡のそのなかの夢とうつつの隧道ずいだうつづく
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その度に記号化された存在をどう脱するか 人に「なる」には
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