洪水が来たりて太陽燦々と メントスコーラで吹きあがる蟻
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ゆっくりと煙草の箱にキスをしてそれきり姿を見せなくなった
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この歌をあなたが読んだ一日後、鍾乳洞で少年が死ぬ
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「こんなしゅがウケるんでしょう?」俗人の趣味・嗜好など把握している
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喉渇きジュースを買いにコンビニへ百円玉を握りしめつつ
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自販機で君が買ってたジュース飲む少し大人の味がしている
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唇を求めるように傾ける石膏像の冷えた鼻筋
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何気なくぼやいた息がひとりでに三十一文字みそひともじになっていく喉
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バタバタと 地球の上で 騒いでる 何で一つに なれないのだろ
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クレームの嵐に耐えて炭と化し 夏の蚊取りに親愛の情
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灰色と化したこの世に見つけたい怠惰な情緒乱すなにかを
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貴方には おそれるものが たくさんある だからそんなに 泣きそうな目で
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「叫んでる、心はずっと」「そうですか……記録にないのでなかったことに」
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私の優しさを君の快楽のために使わないでよ……無理か
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肩こりのひどい者から天使へと還る 肩甲骨をはがして
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キャッシュレス災害時には役立たず小銭必要大金いらず
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同じ貌だけど今度は本革の財布に爪をたてた夕立
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耳の水ぬるりと抜けてまだ熱い君が好きだと気付いてしまった
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手の端にきらめく指輪 飾りでも証明でもなく防具としての
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ごとに命がちがう花に言う君の「綺麗」どの「綺麗」だろうか
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言われるまで気づかないからこそ人間には救いがあると思ったりする
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地獄なら 千回落ちても かまわない 救いたいんです、彼を、どうか
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「幸せを見せてほしい」と皆が言う 「誰にも見せない」貴方はそう言う
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美しい 君が綺麗なままなのは みんなが守って くれているから
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コロナ禍中 刑事ドラマの 見過ぎかな この頃ホシが すぐ判る 
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玄関に毎朝届く花束2束 ストーカーと殺人鬼から
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指をさすことができない兄弟の深爪に白いうさぎは棲めり
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あおぐろし 木の下闇このしたやみ重重おもおも臑毛すねげりたきぼくのアンクル
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カブトムシの羽の模様がきれいだ桜の樹液を吸ったからだ
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少しでも冷たいところを追い求め 板の間の上を脚は彷徨うさまよう
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