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骨ばった指を蝕む
蔓草
(
)
の先で腐臭を撒く合弁花
0
「寂しい」と最近君は繰り返す 横に居るのに「寂しい」と言う
2
真砂土
(
まさつち
)
の押し出してなお山青し 踏み越えてゆけ 踏み越えてゆけ
4
背にのせたおやゆび姫の吐息さえ奪えぬ旅よツバメ天飛ぶ
3
あゝしまった君との喧嘩「ごめんね」のその四文字があまりに遠い
2
にじいろの無限の綾をひも解きて
堂廻目眩
(
ドグラ・マグラ
)
の夏に分け入る
3
透明のグラスでカラカラ音を立て兄と一緒にカラダにピース
2
瞼にはもう戻らない夏の庭 ホースの水にはじける光
5
灯台より世界を見わたすつもりにて鴎とび立ちただ旋回す
3
やはらかき花びらに眠る記憶にはおやゆび姫の吐息のほのか
2
ポケツトに億光年を秘め持てる小石を鳴らしをのこ走れる
4
二度寝して余裕を感じて三度寝を敢行したらもう九時前に
1
二文字朝靄二句だけはきだして
漣
(
さざなみ
)
に言えども
槌
(
つち
)
刺すも
0
オキーフの画は神々しくも懐かしく胎児の記憶ふと呼び覚ます
2
浅い眠り 独り占めしたくてダブルベッドなんか買ったんじゃない
0
「
哀
(
かな
)
しみに心のうぶ毛で応えよ」と中井久夫は言ってたらしい
5
哀
(
かな
)
しみにいつもうぶ毛で応えてる いつの時でもそれしかなくて
3
三日後にサルバトーレの姿なく 君が勝手に助かるんだよ
3
走るのをやめ 歩くのをやめ 私に増えたのは 虫刺さればかり
2
ぬるい風につつまれて 疲れと明日のテストをおもう電車内
0
夜会から一人帰るは酔い醒まし薄明かりさす白夜の街で
1
煩わしい日に現れたインベーダー 夏バテよりもひどい病気ね
1
夏場にさ冷たい部屋から暑い部屋行った時にさ夏を感じる
0
あたたかい砂の上を歩くのは 私とあなたとあなたの友人
0
空と海とかさなりとくる閾値にて水平線はしづかにとまる
3
ろくでなしさんしでなくてごでもなしはちきゅうじゆうのいちにつけ
1
海かぜに吹かるる丘をそぞろゆき夏の細胞そらにわたしぬ
1
光背の白一色につつまれて眠りてみたきオキイフの画よ
1
傍観者 口は内に しまったまま おおきな眼で 伝える努力を
1
夏の夜 暑くて早退 白んでく 朝の仕事増えていくの嫌じゃ
1
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