たぶん今日星がきれいだしこれから海まで走る帰りは知らん
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ここにいるよ 曼珠沙華の雄蕊に立つててもまだ攫つてくれない
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死にたいと思う気持ちは嘘じゃない バースデーケーキ頬張りながら
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清涼な涙が宿るコロナ禍にそえる一滴 君の息吹が
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声変わりする瞬間の接吻は凛々しいような哀しいような
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伸びきつた年越蕎麦を啜りつつ走馬灯ばかり駆けさせてゆく
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星醒める間は私の側にいて星の眠りは二人の別離
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後の世に生まれる子らにはまっとうな世界を与えたいと思えり
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夏野なつの牡鹿をじかつのつかやすまず世人よひと思兼神おもひかねのかみ
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触れぬ間に大きくなった君の顔 でも耳たぶには産毛が残る
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どう思う長生きしたいの犬の君尻尾を振って明日は知らない
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ごめんねを言っても言っても言い足りず許しを乞うのに飽きてきた感
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春の馬 未来のあなたが翔る空 今頃君は眺めてるかな
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さよならトランキライザーあしたから夜のにおいを忘れて生きる
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乳白の 双丘に生る 汝が苺 甘さに酔へり いとしさに酔へり
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げた箱で静かに眠るハイヒール 頑張る私をいつか照らして
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水を蹴り青にひたした君の足ゆらぐ境を永久保存す
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どんな味するんだろうと摘まんでは戻す固形絵の具の包み
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夏の空狂おしいほど青く澄む 僕らの切なさすべて殺して
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蝉しぐれ今こそ鳴けよみんみんと七年分のストレス発散
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暑すぎてついつい怠る自己肯定 気にしないでしょ? 一人消えても
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理由わけもなく信じていたの君の裸のままの左手薬指
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君のこと いっそ食べちゃいたいけれど 存外僕は 少食なのよね
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いつか描く予定ばかりを買っていて白く積まれてゆく水彩紙
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夏をパテで塗りあげている頭痛ある籠もる疲労に、微熱かな
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サイダーは砂糖水へと変わりゆく 気泡賑わう時間は過ぎて
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君のLINE三言目ゆうに足りなくて歩き通話に「なんでもない」、の
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シーグラス越しの青空 今度こそ夏を終わらせられますように
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君と僕 あまりに違いすぎるのに 「似てる」と思ってしまうのが
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陽のあたる特等席で密談を「お子様ランチ食べたことある?」
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