眼鏡かけ分厚い辞書を飲み込めば神になれると疑わぬ子供
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このまんま大都会へと運ばれたい 田舎で人々見送る朝
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「反抗期」そんな三文字で済まされて たまるものかとまた抗った
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玉葱を剥くえんえんと剥くいつかきみの悪意を間近で見たい
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君の名は七文字だから適切で 八文字ならば適切でない
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「八月は何処へ行ったの?」「海ですか?藻屑となって消えたのですか?」
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誰か呼びに来てくれるまで ずっと君 うずくまって 待ってるつもり?
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太陽は照らすことしかできぬから道の半ばで百足が死んだ
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好きだった その一言が 聞きたくて 参加に印 入れるクラス会
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遠ざかる景色のそばの ( 君だけ ) が見える想いを寄せる駅
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駅ごとに映りかわる雪の写を二月の想い出と致します
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解体中の赤鉄骨は伊達眼鏡 くぐるぶんだけ空を残して
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「長月は何が長いの?」と聞く君の瞳がとても好きだったので
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8月のおわりに愛を言い捨てて9月はじめに消える腰抜け
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今どこで何をしている白黒の肝油ドロップの男の子は
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久しぶりのマリオカートはキノピオの笑い方がまるで悪魔だ
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君の目が 君の手が僕の心臓を ハートの形に焼いてったのに
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夙夜しゅくや夢寐むび  徒花あだばなそよぐ 夏宵に あの群青あお深緑みどり 星空そらに預ける
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八月の終わりのページを折っていく角は短かくなった日のしるし
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花の名を囁くやうな日常のたとへば眠るかひなを盗む
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暑い部屋 扇風機だけ働いて クーラー雇え 祖母から小言
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白布で覆い隠した真実がくちびるからあふれる料理店
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はりついた咽喉の渇きに夜起きて唾のみこんだことにしてまた寝る
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空の青茂る緑に澄める水 夏色纏ひギンヤンマ去る
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「死にたい」をメモ帳いっぱい打ち込んで 「保存しますか?」→キャンセル→終了
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「さよなら」と麦わら帽子風に揺れ そうか君が8月だったか
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流れ星見つけし僕の願いごと 何ひとつ叶えてくれぬ夜
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夏帽子目深にかぶり見上げると低く感じる快晴の空
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誰もみな震え続ける 君の産む振動に会うために生まれた
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記憶編み 無に消えてゆく 声という 人のものこそ 美しきけれ
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