かわいいと言って欲しいと思うのに それを伝えることはできない
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日本史の教科書にだけ存在し世界史のにはいないオジサン
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「可愛い」を集めた図鑑あがないて32頁にテトロドトキシン
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「つんざくまでは帰らぬ」とふ少年に 朝顔の群れ、無精の叫び
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ざらざらに 糖衣がけした約束 と 錆びた脅迫  おなじ手触り
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ここまでを八月として綿あめがほろびさるのをあおぎみるふたり
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信じれる 人がいること 救いだな 水に導く ホタルのように
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たつた一人の怒れるきみのために聴く胎教音楽きつとやさしい
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ない恋の歌を詠んでは灯籠をさらりと流すみたいな供養
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夏なんでってむりくり爽やかを色づけしている野菜カレー
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母の味じゃないコンビニプリンが好き こんなに遠くまで来たのに
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コンビニのプリンは黄身色で 猫は柔くてやっとね終わった
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世界は想像した通りだったか 7年間のセミの土中夢
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行きたくて行きたくなくてうつむけば 架線の上ににじむ満月
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カキ氷今を生きたらこわれるし 五分後くらいの私でいい
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秋ならば涼しくなれよもう少しちっとも寂しい気持ちになれやせぬ
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少しだけ優しくなれる色合いに世界が染まる 君も見てるかい?
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終はらない黎明だつたくちづけが零るる星の崩されかたで
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ペンは剣よりも強しと聞いてから詰替芯はわたしの弾丸
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「これからを一緒に生きて」が喉奥でラムネのビー玉みたいに詰まる
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寝る前にあの本も読みたいのになベッド入ると寝ちゃうんだよね
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一億年生きたみたいな顔してるのに無責任なこと言わないでよね
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「月がきれいですね」なんて 他愛なく送る写真じゃ物足りなくて
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この先は白いうさぎがかけてきてアリスのいそうな新緑の森
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君の香に 溺れた夏を 思い出す 独り歩く その街の中で
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やわらかな仮眠を連れる熟読の深みに嵌っていたのでした
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朝礼が五分で終わるそんな日もある予定が崩れていった
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ビルの上 空の蒼さに立ちすくむ 皆顔のない教室へいざ
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君はみて声を上げたね流れ星 僕の願いは叶えられたよ
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鈴虫を柔くにぎって包み込み 月の高さでよき声を聴く
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