山頂の流星群の燃えかすが美しくなく安心してる
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無理にでも口角を上げてさえいれば「かわいそう」ではなくなるからね
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いじめては一拍おいてとろかさる徐脈の女満ちて瀬戸際
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端っこから諦め返していくつもの横断歩道を沼にしてゆく
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深爪を味がするまで嚙むことの俺は俺から剥がれられずに
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断ってifがかすめて首を振る あの山だけが僕らを見てた
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お終いの日にはあなたの宿命となる ファム・ファタル 私は常に私で在った
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別の日は稀人となるまれびとは異界を知って還りくるもの
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別の日はグラムロックの申し子となりてグラムメイクで夭折
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別の日はスパイの情婦いろとなる心許さぬためのホルスター着け
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別の日は悪魔、焦がれる魂は傑作と化し作家また死す
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明くる日は金魚となりてギリシアの見事な藤のあわいを泳ぐ
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本日は遊女となりてイタリアのギャングスターに小指を捧ぐ
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夢で逢う 笑う面影 儚くて もう一度ひとたびと 願う切実
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何になる何になれないひるひなか羽化に失敗した蝉とぼく
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腕時計の下必死に拭おうとするうちにまた日陰が終わる
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赤い釦 うっかり口に入れてしまい 人でないのが、ばれてしまった
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湿らせた両手でなでてもらえると…、きやすいです(ビニール袋)
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あの花はいつか枯れるだろうけれど 僕が隣で咲き続けるよ
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君の名を呼べず乾いた唇が濡れないうちに呪詛を呟く
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突然の雨に打たれるびしょ濡れのコットンシャツが サ イ ア ク でした
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風変わりしてる夏雲を店の窓から追いかけながらお茶をする
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空腹を無理に呼び覚ます暑さゆえ頬張る唐揚げは微味でした
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8末も同席を脅かしてくランチはソーシャルディスタンス
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ガーネットは持ってないけどキッチンの戸棚で煌めくラー油の小瓶
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正しくてこころやさしい世界なら『死んでもいい』の許可をください
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ぼくの読む歌が綺麗でないように きみの醜いところ知りたい
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日盛りに舞う夕の色 アキアカネ 待てよ、まだ夏終わってないぞ
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障子紙透かした光の三歩先だれかの影がふと立ちあがる
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君という さそり座の尾にくべられる 薪になれたらどんなにいいか
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