この十年 幸せすぎて早かった この先長く 感じるだろな
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いずれ来る幻想世界に生きるのは天国なのか地獄なのか
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クタクタに煮たほうれん草 何だか可哀想なあの子みたいです
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欲張りだ、味わいたい夢叶えるために、湯水のごとくに命を使う
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ハムスター 我が家の二代目 名も同じ 短き命 受け持つ使命
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話好き 花屋の店員 金魚草 勧めてくれた 花壇で泳ぐ
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喧嘩して ごめんなさいの カモミール あなたからの ブーケ受け取る
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ささやきに振り向く髪のはなびらに やさしく触れるいじわるな指
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看護師の訪問受けて何になる?母よ私は、私は、そうね。
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恋という言葉を知らぬ少年が鼓動の音に驚いている
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血糖は高いのだけど九十二歳きゅうじゅうに食事は好きにしなさいと医師
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ひととして生まれたからには つらかろう わたしも少しだけわかるから
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あなたの真っ赤なカバンにぶら下がるキーホルダーのサメになりたい
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改札は同情して ピッ と鳴る124円だけ入ったスイカ
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もうそんな 季節が来たか 鉢に咲く クレマチスあり 隣家の庭に
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生き急ぐ街に染められたくなくて信号待ちを僕は選んだ
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夜はみな孤独になれる時間だろ。テレビを見るなんてもったいない
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「私には力がない」と言い訳し、そんな吹き溜まりにいつまで留まる?
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鮟鱇の甘い誘いに捕まって喰われてもいいどうせ死ぬなら
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ここまでで誰が終わりと決めたんだ 俺はまだまだ続ける「ンジャメナ」
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エプロンの紐をうしろで蝶にして女上司が主婦へと変わる
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人知れず終わりを迎えたこの恋を思い出になるまで沈めてよ
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「君はまだ興味本位の恋だけで、愛を知らぬ」と言うがおまえは?
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海のない町に生まれたことだけを悔やんではただ空を見ている
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「ご家庭で不要になった」とアナウンス一瞬自分のことかと思う
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瑠璃色の坩堝をぬすむ累犯で類人猿を流謫るたくに処する
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灯明は真っ直ぐに立ち背後では火影ばかりが揺らめいている
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草だんご 矢切の渡し 寅さんの 地元を歩く 夏陽と共に
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おさるさん キーボードうたせ いつのひか シェークスピアかく 大規模言語AIの原理
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五号車 毎朝同じ 彼ら達 いつの間にやら 家族の如し
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