かなしみが 赤いのずっと ティファニーに 行けないわたし どこへ行けばいい?
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うつくしいものだけずっと見ていたい だから鏡を叩き割らなきゃ
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葉が茂る葡萄のつるを手でよけて腰伸ばす祖父 夏の入り口
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君の名の五文字に想いはぎゅうぎゅうで母の想いと父の想いで
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五月雨は天使がくれるティータイム芝の水やりさぼらせてくれる
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花びらの散りゆく数は限りなき 葉桜愛でたし歳とるもよし
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呑みながら仕事をこなす日曜は誰も訪ねてこないバースデイ
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君が見し 夢の浅瀬の光る波 その砂浜に わたしも行きたい
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ゆっくりと近づく君の足音とぼくらの始まり、さあドアが開く
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深淵の向こうで手招きする睡魔 連れて行かれそうでドキドキするね
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大好きな旅行も自粛今は一人部屋で時刻表を眺める
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二日ぶり家から出れば風の匂は春から夏へ衣替えして
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くそったれ今に見てろとその熱でハーゲンダッツを食べごろにする
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「まだ個体とかいうものを持っていた昔」のヒトとして生きて死ぬ
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文字化けのバグに書かれた王様の耳の秘密は保たれている
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灯台のごとし スマホの充電ランプ 八畳海には 充分すぎて
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野ざらしの 髑髏に見えし 葉桜よ 輪廻転生 来年も咲け
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上空に ユニコーンカラー うずを巻く わたあめみたい 君の土産の
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何ひとつ持たぬ少女が妻となり、家族を保ちて、宝を得たり。
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逆向きに取り付けられたトイレットペーパーを引くと時間が戻る
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曇天の空は半分赤らんで 君みたいだね 泣けばいいのに
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バインダー今日の予定を一列に並べて今週最後の一日
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合羽干し自転車小屋を出てみれば校舎の上に虹のティアラ
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そうですかそうなんですか(これ以上わたしに何を言わせたいんだ?)
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初夏はつなつの山から薄荷の香りする動物園に象はまだ居ぬ
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シンク下を覗くといつも同じ量残して並ぶみりんと料理酒
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言いたくて言えぬ代わりに傷つけた手の甲 三日月だけのタトゥーです
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愛と生それから死をば結びたる私の意識と言う名の命
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五月野の 茂みに咲ける 姫百合の 知らえぬ花は 葛に隠さる
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真っ直ぐに 天に向かいて 貫いて 伸びゆく杉の ようになりたい
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