芯の無い抜け殻頭が群れている 街は収容所となりにけり
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平地よりはるかにのぞむ山庭に 霧はたぎりて神代あらわす
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湖に流れいる川渡りつつ つかの間見えし雲霞の境
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あさがおや 藍きあさがおあさがおや 牽牛の名も くもは知ります
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あおにおう美東牛蒡のおいしさを、知る子は多く 愛をります
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愛のかぜしれば巽にほはなびく。君の住まいし、洲に度らん
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自販機を探してゆけど、立羽蝶 舞って夕さる長登かな
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行く道の旅ごとに咲く 朱い花。かつて水汲む、から井戸の端に
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短夜や紫煙に巻いて髪を梳くやさしい呪いさめやらぬまま
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しゃらくさいなにがサラダ記念日だなんでもかんでも祝いやがって
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海の中山でもいいやどこへでも行くわひとりになれるとこなら
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夜に喰う抹茶アイスで気休める安い幸せ私の身の程
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ふと気づき詠みたいことなどないくせに筆を執っては不毛な短歌
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手の中のなまのネズミのあたたかさ、のようなものが欲しいってこと?
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吸っている 吐いてもいるこの空気を読めない僕は 辞書を燃やした
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もういいや 生まれ変わって百均で売られてそうなサボテンになる
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なぜ生きているのだろうか こんな日を あなたのいない 白い世界で
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失ってゆくのだろうな ざらざらと 痩せた身体と砂浜の城
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僕もだよ寂しがりだね草の穂にすがりて動かぬてんとう虫は
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孤独感ふかめて独り歩きゆく夜に落つ花風にころがる
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自らの 限界知らず 諦めて 悔いがないとは 決して言えず
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殻破り 次の世界に 出で立とう 己で作った 巣窟捨てて
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一般に 失うことを 恐れれば 得られるものも 限られるもの
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この庭の雑草強く空からの陽も雨も月も栄養とする
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ビルの狭間 旅客機さぁっと すり抜けて さらりと時が 過ぎゆくように
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抱いてる 夢を諦め きれなくて 画面の中に 投影す移してるんだ
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まだ葉月 脱落したセミ転がって ひどい暑さで夏が死んでる
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天照らす空照らすとき雲の果て涙のひとつ垂れる大陸
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霞みある朝にも香るものがある雑踏鳴りし人のまにまに
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ベランダの八月の青 早朝のまなこは冴ゆる月の名残に
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