焚き火くべパチパチ鳴りて底冷えの地に舞い落ちて夕映え覚(さ)ゆる
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「早春賦」音楽室のモーツァルト顔した先生面白きかな
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傘さして歩いて、とじて濡れてない。あの雨音はかさにふるかや
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錆色のわたしは時に削られて時に銅色の友に出逢う
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笑うなよ八重歯とえくぼが見えるだろバレるじゃないか君が春だと
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Bが解けたら君の語尾の「ね」の魅力の単位取りかからねば 
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人類の叡智を煮てるあまりにもそうは見えない蒟蒻の名誉
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許しても怒っていいし許さないままに芽生えてくる恋もいい
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このデータじゃダメだったわ「はじめから」また旅立てば出会えだってする
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楽しんで仕事をしてたら疎まれる そんな新手のブラック企業
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「私には価値などないが私より価値あるものもない」と、それだけ
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うす暗き闇に映ろう蝋燭の火のごとくある幸福、がある
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人間は戦争よりも大きくて愚かしくある人間である
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名刺入れ、スーツ、パンプス、あとひとつ心の準備だけができない
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これは多分マジで疲れた脛をおす指圧は痛いだけ的な助言
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静かさの氷注いで少しずつ冷ましてかなきゃ恋は間違う
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アルフォート号の乗客死亡す はんぶんこされミルクに流され
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さようなら、わたしの一部。掃除機のなかで友だち見つけなさいよ。
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はじめてのまちで流れる夕刻がDNAの螺旋にからまり
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アバターがバグって柱に刺さってる 現代ネット処刑被験者
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溺れないもう揺らがない雨上がりの鮮明な雲の輪郭をなぞる
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白い雲乗って遠くに行けたなら君住む街を見つけて降りる
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君のいる街から春になるらしい花のワルツで電車を降りる
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ふっと手を離して去った人たちは見えなくなったので、「いなかった」
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卒業がこんなに惜しくなるなんて3年前は思わなかったよ
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真っ直ぐに進めないのかこのハサミ  紆余曲折はまるで人生
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愛用のペラい栞は思想とか趣味に恋人よりも詳しい
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しいたけが嫌いな僕のためだけに食卓に並ぶ七宝菜
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個個個個個個個個個固個個個個個個 我を突き通す頑固な奴
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予報より暑かった日のコートってやけに重くて、私に似てる。
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