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この冬も野山を駆けて山鯨ぼたんの花はまだ咲かせない
3
黒服が運ぶケースにこの星の運命線がつながっている
3
さくらんぼ いちごブドウに 桃パイン 今日も今日とて スイカを作る
5
自分史は最終章から書きはじめる 大霊界での幸福な日々
5
泣いているきみの背中を撫でる手が震えて少し痛みを分け合う
9
あの人も 見てたらいいな この夕陽 例える言葉 見つからなくて
15
ブーケトスとって私にくれた叔母さんは勇者のように微笑む
12
「ほころぶ」は おんなのための 動詞語で 「ほろころび」は おとこの名詞語。
9
「ムーチョ」の「厶」 そんなかたちの ゆりつぼみ 半日たっても 言いそうでいわず
7
しんと澄む夜ハイボールの氷ひとつゆっくりゆっくりからん、と滑る
8
チャンネルはそのままでまた人生も 愛も恋もわからないままで
7
来世では赤ちゃんのほっぺになって すこしだけなら触らせたげる
5
雷鳴に ねこのおめめが真ん丸に お外だからね 大丈夫だよ
12
次はいつ還ってくるの宇宙塵にまみれた汚い雪だるまくん
4
悩みなくただ毎日が楽しくて スキップしてた輝いていた
7
柿吊れば渋の香清し風絶えて鳥鳴き空にヒコーキの雲
10
夢見ればどこかの街にとばされて知らない人とアイスティー飲む
10
愛も死も厭いてオーデン詩集閉づまたも失う人間の道
6
水振って ベーグルすこしあたためて モチモチにする ふかふかにする
10
ビュブブンとドップラー効果示しつつ眼の前過ぎてカメムシが行く
6
霜置けば
幾日
(
いくか
)
もあらじ菊の花折らば折りてむよし惑ふとも
6
こちらから あ〜いう人っているよねと 向こうもきっと そう思ってるね
9
卒業の頃にはきっと この場所も 居心地いいと 思えるように
14
ゆっくりと終わっていけよ雪虫があしたの夜と告げているので
6
発色の度合いを競う紅葉狩り
S
N
S
はアプリの見頃
5
海
(
わた
)
の
原
(
はら
)
血汐紅葉や 波の綾
浮
(
うわ
)
つ風だに 吹くよしもがな
2
海の中 手を離したら消えるのに
S
N
S
(
エスエヌエス
)
の胸先三寸
3
渡り鳥群青色の海越えるたとえ故郷が焼け
爛
(
ただ
)
れても
7
きっと嘘ホストクラブの看板と二世議員の選挙公約
5
女子はほぼ紫色のランドセル列を見送り信号を待つ
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