あまづたふ の映えて足引あしひきの 山のみごと目にさやかなり
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お歳暮や 嫁ぎし娘の 義父の声 癌乗り越えて 高らかな声
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この歳で 試験に落ちて 落胆す すぐ立ち直り リベンジ狙う
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ねむたい時ナンプレしたら間違える 無駄な労力 消しゴムけしけし
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独り居て 幼な子の思い出ぐるぐると 抜け出したくも抜け出せぬ渦
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色鉛筆で描いたカタカナ絵本を 今でも好きだと言ってくれる
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子供部屋 楽しげに読み聞かせの絵本選ぶ 小さなあたま ふたつ
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こんなにも 学舎行けぬ 人がいた 学、取り戻す 輝く女よ
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お寿恵ちゃん 毎朝キミに癒される でもねホントは 見るのがツラい
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売り出しの牛乳 賞味期限近し 牛乳プリンか クリームパスタか
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元町の特集を観る なかなかに 決まった店しか 行けないのだけど
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悠久の藤原京に陽をあびて 凛と輝く蓮の花々
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長雨ながめては けぶりてかすむ里山の 色なきゆゑに音のみぞ
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乗っ取られ布団の隅で縮こまる それもしあわせ猫は王様
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おずおずと僕の前髪払う指 逸らした眼、何を考えてるの
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照れながら投げ渡される土産菓子 放物線の先へと急ぐ
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一日を窓辺で過ごす豆苗もほっと息つくかな半日陰
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冷蔵庫の前の床にて 涼みおる ねこの肉球 見えているなり
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母と子をかかえ一つの要塞のごとく電動自転車駆ける
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明日別れ エアコン温度 大喧嘩 八年の思い 噴火せしかな
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弧を描く白球放つ若虎よ向こうの空に球宴はある
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「おかしいと思う」は怒っているのとは違うが機能的には近い
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怒るのは苦手なもので、「不当だ」という言明で許してほしい。
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理解ならできるが共感はできない。「気持ちがわからない」のではない。
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それはもう言葉なのだが→「言葉ではとても言えないような感情」
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感情を見せろと言われた時用にあなたが備え持つものは何?
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議事堂は 白い墓地だと誰か云う 老人たちが 吸い込まれゆく
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あてのない 目的地へと 運ばれる 人生メトロ 降りずに良いのか
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ほのめきて 川邊かはへせし草根くさのねの くたしてはほたるすらし
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半世紀ぶりに訪い来る夫の友両手いっぱい土産携え
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