おなじみの柔軟剤が買えなくて 他人のかおりをまとって生きてる
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泣けるほど好きだったのもほんとだし いい思い出になったはずだし
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自らの 価値を初めて 知った夜 あれは場末の 連れ込み宿で
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身体の死は意識の死 鳥籠が己を鳥と錯覚しても
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体とは乗り物である大破して止まるまで(止まっても)降りられぬ
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知りたくない あなたの浮気 願わくば シュレディンガーの 箱から出ないで
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淋しくて 金を払って 「愛」求め 触れた唇 あいなどなくて
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嘘をつく 夜はいつでも あなたって スマホ職場に 忘れて帰る
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配牌も ツモも悪いよ この人生 無意味なドラで 降りも出来ずに
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眠れない 夜は手首を 掻き切って 鉄の風味の 眠剤を鬱
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ラジオから 聞こえる声は 鮮明に テレビや動画 より濃く残る
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水道代 払えない日は 水商売 堕ちた自分に 落ちないチップ
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海に出る 長い坂道 思い出す 夏色の夢 キミとのニケツ
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めいわくをかけてもいいという人に 肩ちからぬけ安堵のためいき
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崩れゆく ゲシュタルトだと 知りながら あなたの下宿 極まれしゲス
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幸せが 間近にあった 短くも あなた冷徹 麒麟氷結
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火照る耳 新歓コンパの 帰りみち ホテルに寄ると 掴まれた夜
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散りかかる落ち葉が破った巣をなおす 大忙しの年の瀬の蜘蛛
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今年とて 第九を唄う 心では 小さな終焉doomを 迎えてはいる
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なんとまぁ 天文学的 稼ぎとは 大谷の十年 僕の三万年
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ビニールの小さなハウスになるキュウリ 店の高値にニンマリとする
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ガラスには初霧氷咲き内外の気温差およそ三十度ほど
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何もかも捨てられたなら楽だろう金も名誉も欲も命も
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貧しさに「お金の工場休みなの?」爺は国家予算を教えた
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母は今年 入院・手術を乗り越えて 杖デビューもし リハビリ励み
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ベタですが 今年の漢字は「母」かなあ 母の娘で ねこたちの母
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料理とは科学であって愛である失敗もあり喜びもある
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玄米でパンを作って食べました四年生なら自慢気に言う
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冬好みし命日の兄今ごろは新雪山にシュプール残す
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吐きそうで 忘れるために 金遣い 当たらぬ台を ボンヤリみてる/種
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