悲しくは慰みにとぞ植えにたる木の花今し咲かずありけり
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ぼくの名を希釈してゆけば月になる きみの名前は紙には書けない
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いわば、その、まさに、無意味、でありまして、であると同時に、無駄、であります。
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北風と太陽と僕が競っても僕が最初にきみを追い剥ぐ
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天然が注意欠陥に重ねれば 「人親しむ」とねえや微笑む
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受け身から教えてもらうあいつには背負い投げしてもらうわたしは
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蛸足たこあしのコード辿たどれば二口ふたくちの あなたと私 渾然と混線とコンセントして
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カサカサでぷにぷにの恋は突然に降ってきたりなどしないはずだろ
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春物と呼ばれし服を慰めるために大きな鏡がほしい
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無人になったとなりの家の庭に咲く白い花だけ記憶に残る
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なみだをなみだ、と呼んだひと 春のまひるに息たえたひと
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ふと自分の息に獣の気配して昼間の男の背中を思う
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‪I show you the most important thing is love,but,I tell you my birthday……相性より愛情が大事‬
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‪友達がほしかったねと笑い合う君とは探るまた春が来る
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五メートルよりも大きい人ならば胸に差し込むポケット六法
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春らしい前置きはこれくらいにして今から君をさらいにいきます
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本当はあなたがそこにいるだけで幸せなんだと思いたくって
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家でひとりルンバが姿見倒すころ明日の天気に気をもむ僕ら
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あ、そうだ。みんなせーのでいっせいに仕事をやめて夏になろうよ
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辛きこと独身の叔母施設入れ母なら入れず父ならいれず
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旦那より 家事してくれる 食洗機 あなたから もう離れられない
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ああミスド みすみすミスド ミスドドド 食べたいミスド ミスユーミスド
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布マスク二枚? 現金給付しろ 俺は絶対許さないからな
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校則の厳しい彼女たちのロッカー誰かが置いてった除光液
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一人称が「世界」の人が言っていた美味しいサバの味噌煮がたべたい
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前世ぜんせいは芝生だったという人のかけだしたあとを見守る母よ
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夕空に色おりおりがかさなって窮屈そうにする夏の虹
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ソーサーとカップを伏せて組み合はすラスト平安貴族の子らよ
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蜚蠊ごきぶりや 背広の影縞かげしま消えるまで隠れて暮らす みかん箱の底
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ポリ製の心で熱に弱いけどいくら泣いてもまもなく浮かぶ
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