木洩れ日の揺るる窓辺にことのはを拾ひ零して忘れてしまふ
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言葉研ぎ大気に溶けて冴え冴えと 刺すも刺さぬも気付かぬほどに
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家族とて真意わからぬトンチンカン良かれと思って大きなお世話
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雨だから天の川が渡れない? そんなことよりサラダを食べろ
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切実で深くて重い言葉とは? 切れば血が出るような言葉は?
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ぐるぐると どうどうめぐる感じのみ 頭の中をかけめぐるのだ…
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ぺらぺらと軽くて薄い言葉しか 口の先から出てこないんだ…
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ドアの開くチリンチリンに振り向いて私にはいま待ち人がいる
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内面にないもの纏うなにもない私はなんにだってなれるよ
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天の川漂い流るゝ月姿 大海原の小舟のごとし
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はじかみの紅さす端をさりさりと 酸いも忘れて彼はまだ来ず
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観光地の藪の中で見た死体 誰にも言わず帰る楽しみ
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置き去りにされたビニール袋 あの日地下鉄には乗らなかったけれど
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服なんてどんなのあるかいちいちさ把握なんてしてないからさ
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人生をコックリさんに導かれ母を捨て夜の街を歩く
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人間を模した猿の人形と廊下の隅の闇が怖くて
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お空から 落つる雨粒 激しくて 海へと変わる ノアの箱舟
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本当にトマトの内臓なのこれは 血液したたる鍋かきまぜる
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現し世うつしよに飽きてしまった神さまはきょうもメルカリ発送してる
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サラダとか食ってる場合か!明日こそはあの子に会える!一年ぶりに―彦星―
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唐揚げとサラダを篭に詰め込んで銀河を渡るあの人の元へー織姫ー
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残された静かな部屋の留守に笑う人間を模した猿の人形
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他人とか悪人とかの訃報噛み締めるのね波が去ってくまでは
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おらがんちで魔女狩りあった朝に来たい 米粒見たいばっちゃのほおっぺた
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バイバイして 振り向いたとき 振り向かれてないと傷つくので 振り向かない主義
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金なんて使ってなんぼそのように一生懸命言い聞かせてる
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蛇口の下にたっぷり苔が生えていて肺胞みたいな花を咲かせる
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総身を銀に光らせ落ちていく毛虫 怒りで詩を書いてみろ
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刈り取らるる松本智津夫のその御霊みたま 魔になる神になる人になる
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旅先の見知らぬ路地の道祖神 欠けた頭でこっちを見ている
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