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虫籠の中の世界と知っていたけれど飛べれば十分だった
11
まそかがみ 照る秋
映
(
は
)
ゆる
蔦紅葉
(
つたもみぢ
)
濃
(
こま
)
やかなりて
朽葉
(
くちは
)
いろづく
5
生涯の鼓動の数は決まってて死にたくなくて君と離れる
10
起こりうる今日を数えて消えた今日 スノードームの空の静けさ
7
無能です雇わないでと履歴書に書きなぐっちゃう前に封する
14
くつくつとスンドゥブチゲの煮立つよう君の恋路の叶いますよう
12
物騒な世の中だけどイルミネを見上げる時は心はまるい
14
若返る薬があっても飲みません辛い人生延長なんて
13
どうしよう昨日にループまた私フラれる君の前にいるじゃん
12
寒空というほどじゃない赤の下、路端の歌手の「最後の曲です」
4
枯れ葉下、いるかも知れぬ虫たちのことを思って避ける靴先
12
タワマンも億ションもあるこの世界上をみてたら首疲れるわ
9
去年来た暑中見舞いをふと拾い、LINEを開く秋の日の夜
5
遊歩道コスモス摘んではしゃいでる少女たちを夕日が急かす
15
いらないよ、機械と鼓膜の間だけ超ゴキゲンであればいいのさ。
3
ケンタッキー今年も予約がはじまった バーレル何歳
(
いつ
)
まで2人で食べきれる?
5
起こされた春の陽気に誘われて次いつ咲こう迷子になった
8
ねこ母はクリーニングを片付けて 汗だくになりアイス手に取る
5
健診で心肺機能高くてもあなたがいると呼吸乱れる
8
カーテンにくるまり日向ぼっこねこ ほどよく涼しく そこが良いのね
11
どの順で 食すべきかと見渡せば 本命横の黄身(キミ)と目が合う
8
いつもなら いれないティッシュ ポケットに あさの風邪ぎみ わすれていたり /老人卒業 聖人となる
7
あぁもうこういう日に限って どうしようもなく馬鹿みたいに青い空
9
ファッションの 一歩先行くリーダーに 歩調合せて秋の風切る
2
道をゆく人の視線を一点に集める惣菜屋の行列
5
おむすびを頬張る毎に 頂の先に広がる麦 黄金色
4
五十路なり買い物辛くヘルパーの提案あれど目利きは出来ぬ
6
望まざる 合理化という引き算に 割り切れぬ思い 星の降る里
6
土と虫ついた大根抱きかかえ 自分で抜けた!と喜ぶ娘
13
霜月と思えぬ日差しに汗じわり 冬の足音まだまだ遠く
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