話す前 一瞬チラ見の 先方確認 僕は知ってる  君の一旦停止
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鳥の声 風の囁き 花の色 心の波動 春を取り込む
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空白は埋めないでおく ひらめきが孔雀になって飛んでくるから
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胸の内 勝手に占拠 キャパオーバー 好きな人より 嫌いな奴が
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とりわけてきみそぞろの愉しけれ 桜舞い散りハナミズキ咲く
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地響きと 怒号のような 雷鳴に 部屋の真ん中 縮こまりおり
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久々に 雨の振る中 外に出る 道端の花 潤い咲いて
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ルリビタキ 幸せを呼ぶ青い鳥 おみくじでもいい あやかりたいね
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春の風 スカートゆるる その下に 神を見たりと 友は言いけり
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父は鳥 群れに紛れて帰りぬる 黄昏の空 時刻を告げる
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首吊った前住人が毎夜来てとても楽しい格安物件
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舞い上がる花びらたちが描くのは春を追い越す風の輪郭
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おまえさえ居れば地獄に花も咲く 背を追うだけでもわれさきわ
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綺羅宝樹きらほうじゅ、花咲み盛る極楽も おまへ居らずは地獄に同じ
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じりじりと夏の気配が寄ってくる ベッドの上で春を抱える
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恋焦がれ君の姿を追いかけて かなわないと分かっているのに
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一人減り二人減ってはうちよりも西側にし は無いダークゾーンだ
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せわしさにコーンフレークを掻き込んで春居丈高いたけだかに来たりと思う
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チェーンソー唸る音聞くまたひとつ仕舞うのだろうさくらんぼ園地えん
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いつまでも小学校の夢を見る 僕の心はいまでもそこに
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春曇獅子の子のようにヘッドレストへ足の指伸ばしおり
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ぼくだけが気付かなかった ノイズとして消されたきみの悲鳴は長く
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言葉などない時代でもわたしたちただの母音で強く叫ぼう
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菜の花の背丈とおなじ尾がゆれる 散歩道はいつも変わらず
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ウィルキンソンみたいねあなた 痛いのにずっとぽこぽこ泣いていたのね
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番犬に怯え 両手で耳塞ぎ 走って通過 小までは
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散り落ちて忘れ去られるそれ故にみやびな高貴宿す桜よ
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同病と思えぬほどにパワフルな筋痛症患者われらの誇りレディーガガ様
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しっかりと真冬上着の月始め月末つきずえさらりとまくる袖かな
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カレンダー 斜線が丸を  通り過ぎ  名札残して 君はかの地で
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