鬼のように痛む背中と引き換えに毎月いただく手取り16万
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ピントずらし世界の解像度を下げる見て不幸になる顔など見ない
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音楽の趣味は誰にも教えない群れからはぐれる理由を減らす
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怒れるは一つの才能なのである風呂場で叫ぶ昼間の怒り
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血の吹き出す体を抱いて夜を過ごす悪意の視線の切れ味すごい
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星屑が波と溶けあふ海原の果てを求めてさまよふ海月
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ふと切ってみた 夢のまた夢の輪の 指に絡ませる毛先すらなく
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月光が差すマンションのテラスにてバイト終わりの脱力タイム
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三学期終わり近づき好きなキャラきちんと書けたデデデ大王
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独身の友の豪遊羨ましくなんかはないさ土曜日の夜
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星の裏行き切符だけ握りしめバスに乗りたいような夜だな
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落ちているマスクの皺のより方が傷害事件の動機だったり
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年老いた母に代わりて糸とおす針の穴より小さき我が身ぞ
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人工物なれど美(うま)しきロケットはすっくと立てる種子島の海
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さびしくて風吹く夜の裸木は熊手のように星をあつめる
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何故なのか あるいはそうではないのかを 問い続けてく 夜が明けるまで
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生きていて 生きててくれ とただ願う 月も沈むし花も散るのに
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目覚めたら隣の君はまだ寝てておでこにそっとおでこをつける
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どうやって二人で抜けて帰ろうかLINEを交わす夜のカラオケ
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懐かしい気もする朝の悪魔来てこりゃだめだわと諳んじる経
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星を取り 尾久の車庫にて 休む81 夜行を曳きし 勇姿偲びて
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空色のアパートの屋根たかだかと打球は超えて夏へ飛び込む
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沈丁花赤い蕾は固いまま春風やさしく開花いざなえ 
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きのうまでただの他人だったあなたと、今はガッツリLINEしてるね
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布団から 飛び出たお手て 冷たくなりし そっと引き寄せ あたためる
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「大丈夫、泣いた分だけ強くなる」「弱くていいから泣きたくない」
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この発明はただわれひとりのためにあると知れば難しくない
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累積す言葉をさらに畳み込み最小位相のうたを求める
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ひとしきりうがいをしては毒共を今吐き出しておはよう儀式
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寒い雨鬱陶しくもこの朝は何を読もうと跳ね返される
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