やってくる 電車 待つ人さらってく
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尻尾までギュッと餡子を抱きしめた甘い粒だね逃した鯛は
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眠いなあ 瞼を開けると午前九時 おきたくないなあ おはよう世界
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一生物 太って着れない 高い服
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串を刺して何もついてこないよう何時間でも焼こうよ未練
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経済と生の世界が縮小し都会に満ちる帆のアイロニー
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アイドルの 満面の笑み 癒されて 買っちゃうんだよなぁ 初回限定版
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血を乳に変えて体を与られまた血を乳に変えて与える
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電灯の光がまぶたの裏側でむにゃむにゃして動いているな
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本当は目を閉じているあいだだけ体は宇宙にいってきてる
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さっきまで誰かはいてたスリッパの生温かさやけに動物
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新しい ノートで最初に やってみたい 君の心を テイラー展開
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あの夏は どこへ行ったの? 秋は一寸 センチメンタル 毎に深まる
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「味噌汁を毎日飲みたい」知らんがな。自分好みに勝手に作って。
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誰もいないリビングでひとり短歌うたを詠む 窓の向こうは闇夜が広がる
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ぼくが想う君はこっちを向かないから ぼくをこっち見る人を好きになりたい
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二人なら共に初日も八日目の単独トップ土はついたね
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好意なら気付かぬ振りも出来たでしょう育てたはずのきみは被害者
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友受けしセクハラに怒る。性欲はとぐろ巻くわが胸におきても
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付箋つく歌は君好みのもので 歌集が閉じてまぶたもとじる
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ドイツ語でためらいのことを「Scheu」という。車どこ停めてたの?ああ、そこ
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舌伸ばしマスクの裏を舐めてみる。生きてくうえで必要な味?
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プロフィール画面に指輪絵文字だけ「結婚するの?」生涯未読
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林にて風のうつたへきかむとす聞こえてくるは葉擦ればかり
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ボールペンうちにとらわれたる玉がぽとりとおちてそれがピリオド
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神が僕を 置いて帰ると いうならば そうはさせない 実力で阻止
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人生を やり直すとしたら 男か?女か? どっちもイヤだ やり直したくもない
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言の葉が枯れ落ち静寂しじまが澄み渡る 白い溜息 ひたひたと、冬
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その肩を枕にすればぎしぎしと君の仕組みに抱きしめられる
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愛さずに 愛されもせず 生きてきて 人生晩秋 木枯らし寒し
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