怒られて お腹も痛く なりにけり 身から出た錆 雁字搦めに
0
緑色に変わる信号をあまぐもが覆いつくしてざあざあと降る
5
傘を開くメアリー・ポピンズ虹をかけその内側に雨をふらせる
4
ひとり活きひとり死ぬこそいのちなれほのかに苦き独活うどのきんぴら
6
貝殻が海の記憶話すように あなたの動悸は地鳴りに似てる
2
少女のように生きていた 上履きをバレエシュウズと呼ぶあの町で
2
洗われた猫の怒りにゴマを擦り 多忙を極め今日休みます
3
さくら花自然法爾のその姿 咲くも散るも風にゆだねて
3
霧霞眼をくらまされ歩けども 迷いまよいて今日となりぬる
1
うす明かり 求めもとめど うす明かり
2
蓮を見るわがまなうらの夢の中 散りゆくすがた風に任せて
1
愛がため溜めずにおれぬ息すらも滲みる知覚過敏ハイパー・センシティビティ
4
わたしには 〝これ〞しかないと いう刀でさえ神には おもちゃでしかない
2
事切れるその時懐古する生のピークが挙式なんていやです
1
誓い合う日取りと場所を決めるだけ。何も大袈裟にしなくともよい。
1
自己愛が例えば赤い色ならば僕は全身血まみれだろう
15
嘘ついた君と気づかぬふりの僕いつも以上に笑って歩く
11
花を愛で人を尊む心まだ思い出せるか思い出せるか
2
イヤリング、指輪、コートの順に脱ぎ「帰るまでが」の魔法が解ける
6
自殺する勇気もないし自宅ごと火事でも起きて朽ち果ててくれ
2
矯正をしてもしなくても僕の目に こんな世界はぼやけて見える
2
贅沢な時間を過ごし来たものだ2020を超えての我等
6
結ばれた黒髪はもうほつれかけ 薔薇が紅くて薔薇が紅くて
8
たたまれた翼は透けるような白 遥か未来を羽ばたけ君は
6
落ちようとしなくていいよ大丈夫ぼくが地獄になってあげるよ
4
言乃葉乎ことのはを  参拾壱文字尓みそひともじに 並而茂ならべても  歌戸波不所云うたとはいへぬ 詠与情乎よめよこころを
9
大きくはない部屋の大きくはないベッドの上で明日を占う
2
来週の私もあの交差点で私が轢かれる夢を見るか
3
かつてどこにもいなかった生き物の鱗の輝きを記すヒト
3
大丈夫涙の数だけあなたには優しい夢が待っているんだ
3