生きるにも 何をするにも死ぬのにも 足りぬのはただ私の勇気
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春風に 訪ねし心 晴れゆくは 我が心根に ありし思いかな
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宵闇に 集いし邪は 祓われず 心にとどまりて 消えてはくれぬ
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貴方との会話にすっかり日が暮れて渋くなったダージリン飲み
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全米の涙で塩漬けになったポップコーンが床に落ちてる
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前のめり 鏡見つめる その手には 初めておろす 赤い口紅
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照れくさい 感謝してるのに 怒っちゃう 素直になれぬ 不器用心
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別れた日 恋の臭いを 消すように 部屋の真ん中 置く臭い消し
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聴こえるか?「愚図は死んでも仕方ない 死ねばかえって好都合だな」
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嫁と母 妻と姑 四役をひとりでこなす年末年始
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胸に頬 つけてため息ひとつつき 目を閉じ眠る 子猫いとおし
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早く寝て!ひとりの時間待ちきれず こっそり開く 短歌のノート
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関係者ですか?と聞かれ警察手帳のように見せる受験票
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「たのしい」のラベルを少し剥がしたら「か」の字が見えてあわててなおす
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君と観る映画はいつも中身より君の気配をうかがうものよ
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我が犬の毛に付く植物小さき種この種あなたに命を託す
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もう寝るのいつも起きててくれるのに背中さすって尻尾ひっぱる
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聴こえるか?「愚図は黙って死んでくれ ムダなコストがかからないから」
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はなまるが ほしいの大人も いっしょだよ 褒められたいの 大人もいっしょ
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ぬくぬくと扉へだてて朝が来る死んでしまった夜を尻目に
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マスクして 防ぐ細菌 だけでなく 心蝕む 卑劣な言葉
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長い夜 せつなくなるな この時期は あなたを思う 時間長くて
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愛という文字ぼろぼろと溢れゆくまつげの隙間はどうやら苦い
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潰されて圧されて焼かれてキュウと泣くホットサンドの耳のはごたえ
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何もせずどこにも行かず眠りたい生まれてなかった頃みたいに
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コトコトと角煮煮ながら 膝にネコ ひとりですごす 雪の日たのし
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心なし この世を想いて 叫ぶとも 儚く散りゆく 我が思い
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木桜に 思いを馳せて 春風に 誘われて開く 花桜
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王子かな りんごを齧る私みて「白雪姫」と笑うあなたは
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とめどなく傘から雫きらきらと願いはひとつぼくを泣かせて
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