深く暗く瞼とざせば、うん、そうね、世界はこんなにも美しい
0
「おやすみ」は枕詞だ 明日もまた君におはよう伝えるために
3
「いつかっていつのことだよ」「ごまかすな」「ハッキリ言えよ」今日も言えない
1
恋人がいるなら先に言っといてアイスが転落死したじゃんか
4
ピリオドはあの日に打ったはずなのにいまだに押せぬ削除のボタン
1
しあわせが輝きながら満ちてゆく六月、ブーケ、白、ニ長調
0
涙、涙、君が還ってくるのなら溺死しようと鼻水垂らす
2
わたくしの終戦はいつだったのか のり子のように叫びたかった
0
形だけの 三十一文字の 愛のこと それより勝る 一度だけのハグ
5
君が目を離した隙にくちびるがマスクの中で「だいすき」と動く
2
大事なこと言おうと口を開くたび潮騒の音に邪魔されちまう
0
プール後のシャワーかすかな虹見つけ小さな恋の成就を願う
1
他人には見えぬ涙を流しつつ「誰か気づいて」と少女は叫ぶ
0
「パパ活を無償でやるってありかなあ?」「いやそれはもうガチ恋じゃんか」
1
不器用な僕にりっぱな武器はなく「好きだったよ」とつぶやいてみる
9
まっすぐな歌を貴方に届けたい槌で詩情を叩き続ける
0
声が良い顔が悪いと母の言う新型コロナ識者ランキング
1
下の階の 誰かのスマホの 目覚ましが 毎朝10分 鳴り続けている早く起きろよ
4
ありものでまぶたをこじ開けるために豆大福でコーヒーを飲む
1
夭折の詩人を惜しむ詩人たちもしくは死にぞこなった無能たち
0
ヒトラーが傷痍軍人だけ集めベルリンパラリンピック開催
0
お互いのスカートの裾ひるがえし廃校舎から空へ飛び立て
0
コーヒーのお相手をする太陽に月が嫉妬する午前六時
1
鷹が散る鳶が絡まる鷲枯れる魂売った雀が笑う
0
軽率に月が綺麗と言えなくて上司と部下の出張の夜
2
面白き ことばかり言う そのわけは 悲しい素顔 知られぬように
0
幼子は 泣きたい時に 泣いていた 今じゃ涙も 出てこないから
0
泣いている 君の叫びを 聴かぬよう 泣きたいほどさ 本当ならば
0
慰めに 自分で作る 曲を弾く エレキギターの 悲しい響き
0
君もまた 去って行くのか 私から 誰も共には いてくれぬのか
0