夕べ吹く風は 孤独を誘ひしか 青田集ひし 青鷺の群
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出張のかへさの 電車を待ちわびて 下校途中の 語らひ聞きぬ
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いつの日か 河原で拾った 鬼胡桃の 殻の片割れ探すよ 今日も
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透明にならむと 雨にそそがれし 空気呑むかな 煙草屋の軒
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辛口の泡がはじける発泡酒。饒舌のままいてもいい夜
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五月雨が洗い流したこの星の澱は彼方へ洗濯日和
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しかしこの無意味な生を ぱりぱりと海苔を砕いて飯に混ぜつつ
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温故知新 バーチャルなブーツを 履くような世界で 時をかける少女
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苦しみも 所詮はもの云ふ肉塊の 生理と云へば 気は晴れるまし
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億劫で傘をささない人だから私の傘は大きめを買う
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否認のち怒りを叫び鏡見て悲嘆に暮れてそしてそのあと
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知性ってとてもセクシー、証明をしてあげるから私を見てて
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三日前そっと引かれた赤波線「それは違う」の主張無視して
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窓の淵飛び乗った君が瞳孔を狭めることで完成する絵
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享楽は八十八の可能性 一番瀟洒な逃避でなくて?
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君は〝ない〞 流行りの眼鏡をかけてない 髪を巻かない もう笑わない
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歪だと 思うか 君は あの月を だから僕らは 目が離せない
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くせっ毛を炙り出すためだけに降る霧雨 だれも傘をささねえ
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湿疹を撫でるがごとき優しさに身を掻きむしり血まみれの我
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不変など不可能。いいの。不可逆な過去は不朽で、不可侵。不思議ね。
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くすんでる、そう表現する他にない狭間の声に恋をしていた
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今日、僕は 人を辞めると決めたので 手始めにまず おさげを切った
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人よりも 何も優れていなくても 「やさしい」 だけで 生きていさせて
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好きになどならなければよかった と だけは絶対 僕は言わない
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君という 冴えた光りに 照らされた 影にも煤にも なれない痛み
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深淵はあらゆる足の下にあり、ほとんど大地のように確かだ
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一番の 夢は叶わなかったので 二番目、せめて三番目でも
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ただひとつ 唯一無二のオンリーワン わたしのこころ みんなのこころ
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病態に嘘偽りなしといえどそれで傷つく心があるのよ
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恋という形の思想統制とつぶらな監視カメラの瞳
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