しんしんと痛むのは胸 好きだった筈なのに君を遠ざけて、春
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こんなにも近くに居るのに遠過ぎる気持ち抱えて描く渦巻き
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君だけが僕に甘くて優しくてだから誰とも似ていなかった
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アンタなんか、こうよ。 とチーズを噛み切った 残った八重歯の痕までセクシー
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波の間を漂ふクラゲ羨しかり覚めざる夢を見つつ浮きゐて
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ドラキュラでない私は朝昼晩イヌを引き連れ太陽にあたる
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「進むな」と願えば願うほど早く進む時間の中で入浴
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青ジャージ髪を揺らして駆けて行くこのまま寄れば先でぶつかる
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あゝ此処に 砂州があつたと 夜桜の河のほとりに 心を託し
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知らん部屋、知らんスーパー、知らん味噌、4日もすれば慣れると思う
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明日にはもうここじゃないそこにいてごみの出しかた調べたりする
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思い出に浸るでもなくただ単にものが多くて包み終わらん
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猫に生まれるはずだったんだ本当は だってこんなにも未知は甘美
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戸の桟にしがみついてるカメムシを吹き落とせずに揺れる触覚
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知られずに違う世界を生きてても違和感はないもともとだから
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恋は散り他人となった「メガネくん」 ノスタルジックが春を遅らす
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さっきから猫と一緒にぼっとして結局今日も深夜に入る
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短歌だん。単価がつくのは簡単だ。詠み手がつくのはされ困難や。
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ふと見れば十一時十一分十一秒です当たりでしょうか
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「乳母車」現在いまは律儀に「ベビーカー」。スニーカー履く母、スモーカー。
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右腕の日焼けがやけに気になってもっとあなたを知りたくなった
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友達を元友達にしたくなる チェーンソーで縁切断して
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夜景見て不意に「わたしのどこが好き?」足の指だと答えられない
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観るだけで参加している選手らの母の気になるうちの母ちゃん
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エンタメと思い文学界隈の本間違えて買って落ち込む
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もう君はいないとわかっているけれど夜空のアイコン眺めてしまう
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この街で死んだら僕も森になる 食べられない実をさがして歩く
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僕たちは皆それぞれに苦しんでそれでも今日を強く生きてる
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あみあみのフェンスの外から遠近感わかんなくなるまで眺めるあの人
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西行がいまの桜を見たりなばいかが見るとや知る由もなし
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