亡骸になってもきっといつまでも歌っているし愛してほしい
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殴ったり撫でたりできない位置にまで離れてようやく対話ができる
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鬱々とうつむく僕の真上にもふたご座流星群のきらめき
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貞子さんナイスカムバック一郎我に返りすみません生二つ
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ぼくの「おはよう」と あなたの「おはよう」は 価値が違うと気付いた夜更け
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生きるべきあなたよ どうか 末永く 春に咲く花の名を教えて
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許したくないことばかり増えてゆく 冬でも汗ばむほどの電車で
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ぎゅうぎゅうの地下鉄で鳴り響く固定電話の音だ ご注意ください
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ぬいぐるみと話せる人の輪郭は人と交わる人よりも濃い
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全面でそらいろ返すアスファルト 乾きのおそい冬がうれしい
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ひさかたの 月の蒼し 上弦 吐く息さえも 銀色ぎんいろ染めて
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寒空に 貴方言いせし 『ずっと待つ』 君の想いに 我応えたい
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てらう 何がたのしき あばずれよ 愛別離苦あいべつりくも 知らないくせに
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遠春えんしゅん 淡い夕暮れ もも染まる 桜木の下 思いを馳せる
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二十年 たっても忘れぬ 駄菓子屋で 君としたキスは マスカット味
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マシュマロを君からもらい、泣けてきて、食べると中にはチョコレートが。
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人生は航海のようなものでありいくつも後悔して生きていく
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信号と見紛いたるはもみじの葉 進めと言うかはらりと散った
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君のいたシーツがつめたくなっている レンジでチンとかできたらいいのに
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見えなくて探した星の行く先は遙か彼方で燃えたと聞いた
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君にだけ見せたい景色ものがあるんだよ ヒールを履いて夜を着飾る
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「会いたい」というのは「あなたの肉体を目視したい」じゃないので注意
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ふたとせに対角化さるる我が生は何処にも行かず何処にも行けず
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もう嘘でいいよと君は泣きながら夢より薄い紫菀を手折る
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間違えて開くAIに愛してと打つ程度には疲れている
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将来の夢はあるのと子に問えば笑顔で「パパの夢も教えて」
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一族の物語第八章は終わり叔母さんはぐずぐずしない
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黒コート足で鞄をはさんだら列車待つ人ペンギンになる
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クリスマスムードの街中仕上げには粉糖みたいに初雪が舞う
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でももしかしたらと振りかえったけどだれもいなくて一面の百合
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