もし僕が ここで倒れてしまっても 誰かが歩む道を掘るんだ
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傷ついた 失ってきたものだけが 吐き出す歌の唯一を知る
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何度でも 立ち止まっても 紡ぎ出す つみ重ねてく つみ重ねてく
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朝起きて ベランダ出ると 雪の街 夢が叶った太平洋の海の家
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円盤に針を落として珈琲淹れてあなたを待つのもこれで最後
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投稿す 自分の個性 何処へと 評価だけに 囚われる今
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ダイヤにも 負けず劣らず 望月を 箱に閉じ込め 手元置きたい
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未だ明かず黒さに飲まれて隣室の物音だけが引き留める綱
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バベルから始まっている創世記巻頭のこれらは絵だろうか
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一夜茸のようにつややかだとしてもそのユートピアは食えそうにない
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雪風の中 腕時計の跡だけが一途に夏を覚えている
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どす黒いコーヒーを飲む 物憂げな科白せりふ塗りつぶしていくように
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シャッターを切れば忘れてしまうから よく見ていてとあなたが笑う
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陽だまりの横顔ばかり思い出す 君の夜には僕はいないの
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ブレンドの湯気の向こうで注がれた笑顔で今日のコーヒーは甘い
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夕陽だろどうせ感動させるんだ青春だなって思わせやがる
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指先で挟んだ頁は見せないよ 雪が本にも靴にも染みる
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奥底はネクタイとベルトに挟み今日も真顔で保つ日常
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悲しみにくれて小雪の道しるべ椿は今宵燃えていますか
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朝起きて 窓の外には 淡雪が 君と同じですぐ消えちゃうね
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垣間見たあなたのあまりの優しさが泣きたいほどの来る死さでした
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微と徴を博打で書いている上に小さめにして誤魔化している
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出会った季節はもう来なくて 別れる季節ももう来なくて良い
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如雨露が飛ばされていく音  蒲団に隠す明日の胸騒ぎ
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寒空さむぞらや 水滴窓を 一閃す 
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時間なら放っておいても過ぎるので無視して茸狩りに出かける
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初恋の上書きできない男らがペコちゃんの店でケーキを求む
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閉ざされた歯科医院のくらやみが夜とまざって、駆け出していた
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見ず知らず名前も知らないアナタへと三十一文字の歌声よ届け
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海沿いの駅に列車はドアを開け北風の吹くカデンツァを聴く
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