夜もなく明け方もなくただ独り光などなくまた闇もない
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三畳の狭い部屋にて夢を見るきっと叶わぬ儚い夢を
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颯颯と月明かり照らす広大な野っぱらを跳べ!グラスホッパー
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君だけが月が綺麗と言ったから今日は眩しい新月の夜
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紅くなる頬を隠して逃げ出したきっと夕日がそうさせたのだ
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折々に皆の助けで生きている 「お金は追随」心に留める
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しらじらと月かげさゆる道行きをかへりみすればすべては枯野
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五時半に太陽はまだ出てこない冬というのは暗い時なり
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「あの時ね少し君のこと好きだった」深夜2時過ぎのサイゼで告げる
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ふれあいの温かみだけを求めてる怠惰の罪の罰たる孤独
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触れられぬ触れてはならぬ花ゆゑになほにほひたち心を乱る
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カノープス見えぬ国の道交法【青信号でも渡るべからず】
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水やりをしなかった日はない病院の植木鉢に不幸が根ざす
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幾千の花弁はなびらに懐かれるせっかちな人が呼んだ春一番
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彼の人を心ならずも打ち思ふ振り子の幅は揺れ広ごりて
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きみの飲むバファリンルナとぼくの愛一緒に浸透しないものかな
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小望月こもちづき照る蜜色の甘やかに とろけたゆたふ影はかぐはし
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初しぐれ過ぎにしのちのしづもりにもみぢ葉の散るおとのかそけく
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あのひともあの子もみんな元気かなわたしを通っていったひとたち
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ビー玉をコロコロと鳴らしコロコロと笑う君の頬ラムネ瓶の窪み
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毎日のぼくのしあわせ一つづつラッピングしてきみにあげたい
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だれのとも どこからでもない、なき声が響く。 遠くの、遠くのあそこ。
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音漏れの知らない曲のアウトロのきわに挟まれもう動けない
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迷子の日 私は私と手を繋ぐ 頼りない指 けれど確かに
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時刻む針は情けをも知らず午前零時を淡々と過ぎ
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等速で直線上を移動する点Pどこへ向かうつもりか
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あたたかい太陽の下で笑ってよ、リップを出す度思い出すんだ
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もみぢ葉のいかだにのつて竜田姫去りゆく秋の川風さむき
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立冬の暦は長いトンネル その一瞬に一人囚われて
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あの山に響く列車の通過音 ノスタルジーを置き去りにして
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