手袋をグローブボックスに入れてああ、そうだなと思う雪降り
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細きくだ命を繋ぐ素人の家族が担う経管けいかん栄養
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動けてる認知症は寝たきりのサポート程はあの頃に無く
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私だけ忘れられたの何故なのか問いたい母の命日が来る
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一九三八年四月一日かつて国家総動員法の制定されき
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救貧院――。否、一群の兵隊に仕立て上げてゆく配給切符
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父の買う赤黄色缶榮太樓飴の描写はネガカラー色
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戦争にゆかさるるわれらの平和 「今そこにある危機」を忘れて
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冬将軍 寒風引き連れ到着し ようやく師走の気が引き締まる
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神棚と戯れている幼子はぼくが神様だという顔で
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昨日とは うってかわった 晴天の 街は希望の 象徴と呼ぶ
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ポケットの 中で一年 あなたから 貰った時計 まだ動いてる
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「新しい治療をするか迷ってる…」痩せた背中で気持ちを吐露する
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日めくりは三日前なり記憶では昨夜ゆうべめくったはずであったな
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因と縁ナチに侵されナチとなりジェノサイドされジェノサイドする
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さなかづら のちもはむと言ひかたむ かたみむだあかるかの日に
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ないものを あるかのように 装えば あるものさえも 無きに等しき
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暗闇ででどうどうめぐりの考えが 雨戸をあけて光で急転
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情報は 麻薬のように 人を食い 滅ぼしてゆく 光ファイバー
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容赦なく 襲いて来る 試練とは 目を覚まさせる 警告の音
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生きている ことを信じて 生きている 実在感の ないままだけど
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病院の目を見てしかる看護師の 去るときいつも小さく手をふる
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情報が 人を操る 主となり 嘘かほんとか どうでもよくて
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欲望を 糧に成長 し続けて インターネット モンスターとなる
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孤独から 逃れるために 愛に飢え ネットに生きる 淋しき世代
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外見で 判断すれば 屑となり 中身を知れば いかに尊し
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人生が 恥辱に塗れ 朽ち果てる 時迫れども 明日を望め
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数字上 65歳と いうけれど 中身は今も 12歳の春
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クリスマス パーティする者 所詮似非 するなら燭火 捧げ行くべし
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『保冷剤』鍋で暖め湯たんぽに 足元ぽかぽか何か幸せ
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