ひとめを気にして歩く この道は いつも僕に嘘をつかせる
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母の遺品に自分と同じ本見つけては 母子おやこなんだと新ためて思う
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亡き母の日記手に取り表紙撫で また箱に戻す梅雨寒の部屋
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梅雨蒸しの そうめんゆがく 額に うっすらと汗 八の字の麺
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十六年目の 夏が来る しずかに 香炉の線香 燃え尽きるまで
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平成の お台所で 炊事中 次の献立 悩んでいたり / リフォーム
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「かけがえのない存在」 という うそ が わたしをわたしたらしめている
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スーダンで 光見えずに 今もなお 彷徨い歩く 母と子悲し
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おのれへの殺意を以て身につける 喪服のごとき黒のYシャツ
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宝くじ当選したらどう使う?そんな大事、国家予算だよ。
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狭き歩道みち  傘傾け合う よき文化 どこのどなたか お気をつけてね
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ふと目覚め昨日を反芻はんすう涙して344三四四の時計の文字盤
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最近ね短歌にハマって作ってるなんて言えないまだ恥ずかしい
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ぽつぽつとこぼした際にありがとう知ることのない母の優しさ
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死を選びいろんな方法試したがなかなかうまく行かないものね
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休みの日散らかった部屋を片付けて上裸で布団に包まり愛す
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死のう死のうずっと思ってやっと決めた白い薬を全部飲み干す
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髪を切り黒く染めて面接へ落ちてもいいやどうにでもなる
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勢いで好きだと伝えて振られたわ今は家族に会いたくないな
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もやもやとした感情を抱えたら伸びた爪を噛んでしまった
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スカートのプリーツのひだからのぞくのは白い太もも青筋走る
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「四は不吉」ただの駄洒落でしかない クローバーなら四つ葉欲しがる
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手をとめて ベランダ出いでて 息深く 湿った風でも心地良きかな
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かぎ針の編み図は指に染み込みて 花のモチーフ編み繋げたり
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ねこを撫で ただひたすらに ねこを撫で ため息混じりに 身支度開始
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蝉の声風鈴の音人影も消えて静かに煮詰まる真夏日
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ねこのため クールマットを 敷き直す ねこ母の愛 たまに過剰か
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後見人 付けろ付けろと ケアマネさん 元気になったと 何度も話す
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文字にする 言霊様が きいている できればポジティブ 星に願いを
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懸賞を わりに当てたる我なれば も一度くらい 母と温泉に
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