常闇の 我が世に明かりも 彩りも 絶えて昇るは 紫煙の灯り
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「今日も雨」 頬膨らませた 傘越しに 雫が飾る 君の幻
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「気にするな、赦せ」と笑みがどやどやと 振り上げた腕そのままに欠伸あくび
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いいですよ隣の車輌にもうひとりオレがいたってかまいませんよ
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「光あれ」lux fiat 回路の網mother boardに のり満ちて おはよう世界 僕はここだよ
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しがらみをベッドの上にちらかしたミニマリストになれそうもない
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シベリヤの白カンバスに 黒い蛇光照らされ鱗輝く
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四十年しじゅうねん街の盛衰見届けて ブルーシートをその身に纏う
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言い訳をつらつら述べるひとのまえカトラリー全部きらきらにする
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いちねんせい くろランドセル てにもちつ じっとみつめる あかランドセル
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熱化粧 血を紅代わりに この顔は どんな雨でも 落ちないわよ
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壁を這う 嫌われ蝶に 寒気刺す 息を潜めて 防空壕へ
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うた曜日ひがな一にち歌を詠み言葉をまるめ言葉をひらく
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ぼちぼちと淡淡とただ歌を詠む時時のぞく日に包まれて
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気持ちバラバラに飛び散った丁寧に一欠片ずつ拾い上げよう
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距離感を過たずにはいられぬよう幾度目かの反省しきり
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電車待ち 目には雨粒に見えねども鼻腔くすぐる雨が降りしと
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おめでとう きみの二十歳はたちがいい年になるよう呪いかけました では
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悼みとは遺れるものの慰めで、交わした言葉、届かぬ言葉
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真名まなも知らず逝きてし君のアカウント 凍れる文字は今も定時に
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遠い日に買って買ってと泣いていたそのかなしさを祀る宗教
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対象を把握し尽くす目があればどんな魔物も怖くはないさ
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改めて口にしなくても良いことをわざわざ選んで言葉にして出す
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沈みゆく言葉の澱になずむ夜は ぽつりぽつりと歌を繰り更く
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梅干しにトマトとそれから唐辛子 赤い食べ物に何故か惹かれる
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もう二度と君を抱くことないのだから手の痺れなど放っておくよ
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今もしも地獄の業火で焼かれてもきっと残るよ。首のチタンは
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まるでこの世界のすべてに赦されたみたい いちめん信号は青
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喉にあるボルトが当たってイタイから縄をかけるの止めにしとくよ
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頸椎の五番六番ツナイデマス チタンの金具誰かキスして
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