指先に ちっと触れては通り過ぎ こちらを見やる まだらの猫や
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「声を聞けば自動的にsun will shine」 パブロフの宇多田 炎天の昼
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髪と手は君に似て鼻と口は僕 その目はきっと神に似ている
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わるい奴ばかり殴った手のひらがアルミホイルのようにしわくちゃ
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美しい国四季のある国 大焦熱地獄のほとりで夢を見ていた
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あめつちにSQLインジェクションを詠み込んで 位相の果てを覗き見る窓
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歌うのだ 君の唯一を投げ出して 喉を狭めず頭上に向けて
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雰囲気で入れたら美味い妄想し不味さに笑い転げるふたり
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さよならと言わないでまたねと言ってくれよ また君に会いたいから
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ハレの日は問わず語りの極北へ 支離滅裂な思考・発言
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うだるとは茹だるの意味かと君に問い真夏の朝のクリームソーダ
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雲を追ふ蜻蛉のめがねに映りしは水芭蕉さくの水の色かも
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灼熱のベンチで 水を流し込み summertimeサマータイムとジャニスを真似る
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誰からも誘われぬまま夏盛り浅瀬にころぶ花火の死体
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反射する君の眼の中に自分では見えない場所のほくろを見る
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梁の無いこのアパートの一室に 今日もが来る 明日もが来る
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梁からのピンと張られた荒縄のような人生送りたく思う
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好きな曲 好きなアニメ 遠く遠く離れずにいる冥王星
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散り敷ける額あぢさゐの星屑は青むらさきの夏の夢かな
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あからひく朝のよろこぶ窓辺にて七月ひとりまたもさてはて
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歌屑を飛花落葉に散らせつつ眺めてみたき雲錦の宵
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「感情は化学反応」と言いきった理科の先生が見せたはにかみ
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統語論シンタクス意味論セマンティクスを振りほどき 後ろを見るな言語姦覚
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意味もなく無色の緑の考えが猛烈に眠る ああチョムスキー
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「本日は埼玉県の終了です」空から落ちるペンギンの群れ
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針は0時 暗闇の中大雨にかき消されてく愛しいこの日
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一人では生きていけないからどうかあなたの針を私に刺して
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ああどうか無能な僕を愛してよ対価はきちんと支払うからさ
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仕舞い込み大事に抱え込んでてもくすみもしない夏の煌めき
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約束はまだ果たされず青林檎 ヨハネの首級しるしその味を問う
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