丁寧な 仕事の出来は 心打つ 手抜きせぬ技 病棟の朝
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同期会五十余年の時んで「女の子たち」の語らいはつづく
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散る散る桜 川面落つ 輪廻転生 咲き溢れ
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父を乗せ 車椅子押す 喜びよ デートみたいな 親ちかしさ満ちて
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温かな常緑みどりふところいだかれて鳥は囀る夕暮れの歌
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人の名が肝心なとき出てこない これもしかしてアレなのだろか
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子育てが毎日放つ新しさ 集中したいどんなことにも
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友Aに 言われて気付く Bの良さ こんな仲間に 限りない感謝
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キューピーのようなお腹もシュッとして 赤子の名残り薄れし二歳
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積み木一つ積めたそれだけそれさえも 嬉しいことを子を産み知ったよ
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ズボン履き女子高生が車座で井戸端会議冬の木洩れ日
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意思表示避け委ね合い膠着す 保たれる和は滑稽の域
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あのガムの絵柄を馘になってから雪原よりも白い経歴
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教室のパースはいつも静謐にジュブナイルを舞台装置に
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晴れた朝寒かったんだ寝相もそう放射冷却出すウルトラマン
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恋しくない歳下男子を待つ事は「ビミョー」ってちょうど便利なことば
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思うより あなたは強い その歌詞に 救われた日が どれ程あったか
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言霊が 光を放ち 灯すよう 鏡を磨き 心を磨く
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わがときは 多段ロケット 七十段 よくぼう あいや きぼうおち ペイロードのこる いのちのゆらぎ
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デコポンのポコっとなったとこ可愛い 甘酸っぱいね もうすぐ春だね
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かーてんを あいするねこがくるまって 日向ぼっこはできているかな
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月命日 今際いまわきわまなこ想う 何言おうとしたの? 夢で教えて
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猫が乗り回る姿浮かびおりロボット掃除機ラジオで聴きて
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朝七時 暗い部屋の窓の端に 差し込む朝陽 煌めく畳
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楠の 冬芽と踊る雪の粒 私の傘の 上でも踊る
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菜の花の 苦みがひどく 爽やかで 甘みにのぼせた 私を冷やす
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恋つなぐバレンタインは牢獄に 聖人の愛チョコと哀れむ
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卒業を間近に控えたあの午後の部室に残した青き憂鬱
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まっさらに何も持たない青い空 どうでもいいことだけをつぶやく
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弟は新聞記者の顔をして 怒りを止めず見えないものへ
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