騒音やノイズではない環境音かんきょうに割り込んできたあれは初蝉
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口と笹かたく結んで冷房寒いみんなの幸せ願う嘘つき
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じゃあねって途切れる声に『やめないで』文字が光に溺れる話は?
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夜の闇よ わたしのこころ なぜ覗く 迷える人の子 聖女にはなれぬ
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喉渇き 夜半に目覚めて コーン茶を 後味ずーっと コーン香ばし
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歩き出す 同じ夢へと君と僕 もどかしいほど小さな歩幅で
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短夜に長く短い夢を見た 昔の傷を抱きしめていた
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窓の雨、加速度的に落ちてゆく 写る横顔滲ませながら
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電球の灯に透けている口紅の咲いたグラスは君の手の中
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窓際に「嘘」の鉢植え置き眺め散らない花の数を数える
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いつからか錆びたレールを走らされ追い越してったあの頃の夢
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傘の中駅までの道紫陽花を数えて歩く放課後の蒼
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夢を持て!みんな今なら叶うんだ!その前向きな人生がいい
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母娘には死んだら入る墓があり、誰にも迷惑かけずに去れる
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母も娘も老いの速さはおなじ事「五十八十喜んで!」の無常
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わけなくたゆむ石女の乳房吸いたるはあけぼの
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てっぺんで長針・短針かさなった 夢の国へといざなわれてく
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君はまた 紫煙くゆらせ もの思い 白い煙に混じる憂愁
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短冊に世界平和を書く人が必ずいるねあれ何だろう
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美味しそうこれ食べてまたダイエット挑戦するわきっとよきっと
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未来って思ってたほど未来じゃなくて少し便利でも色は褪せてる
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夏の陽に透きとおる白 うつむいて月も待たずに宵に散る沙羅
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子燕の雨後欣欣と舞いおれば失せし思いを身代わりて歌う
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根岸にて 故郷の友と 打ち上げに 楽しき夜よ 無事に過ぎ行け
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隣家の窓を染めてる夕映えに明日の晴れは約束される
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本当の愛ならきっと終わらない 終わる愛には理由があるの
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マイ湯呑み よく見りゃこれも 招き猫 福よ来い来い おててつないで
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二煎めのティーバッグのよに くたびれて あったか緑茶の 湯気を吸い込む
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出来心 軽い気持ちで 立ち入れば 知らない頃に 戻れぬ沼ぞこ
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髪色を 思いのままに 染め上げて 新たな自分を 作りあげてく
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