管理簿を受けとるときに指がふれ何もはじまらない金曜日
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藪露の景色も霞む草いきれ見上げる先の雲背負う虹
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愛に似た何かが二人引き寄せた 本当の愛に理由はないの
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君たちと遊んだ日々を生成し屋根裏部屋に玩具を片す
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彼は今誰を想っているのかな 知っているのは白い月だけ
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感受性くらいと聞いて笑ってた中学の俺よ守って笑えよ
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童子らにくまもあまさず食はれけり夏まさかりの氷金時
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せいけ一分一秒狂ったら あの夏彼とは出逢えなかった
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何もかも全て消えろと吐き捨てて青い袋にゴミをまとめる
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安心を与えてくれる人が好き与えてもらう前提なのかよ
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不安症コントロールが難しい 我の心が大きく波立つ
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少しずつ、いや少し派手に歪んでく俺の心がまた荒んでく
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暗く染まる部屋で眺める 網戸に浮かぶ鮮明な蒼 夏の夕に写る特異性
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きみといる 波がまぶしい わたしだけ 見ているんだと 心にしまう
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もとどおり 四季が移ろう 一年は 五十二分 の一でしかない
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真夏日の講義室には無気力科若者属の吹き溜まりにて
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手首見て死にぞこないと言うなかれやつは元々死ぬ気などなく
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秘密基地ごっこをしてたあの頃のままで大人になったぼくらは
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機上より 光りがはしる 石狩 生きて息する 私の舞台
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ハーブティー総動員で乗り切ろう ペットボトルの 麦茶が尽きた
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未来からきたのでなにもわからないごめんねという顔をしている
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まばたきを忘れるほどの痛みまで解ってたまるか解られてたまるか
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あかほしの 明けぬる空のひむかしに 棚引たなひく雲を朝の押し上ぐ
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キャリアにと意気込み始めた英会話 目標叶わず脳トレと化す
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きみのこと なんか知らないあの頃に 見ていた景色さがした昨夜ゆうべ
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姉様の お誕生日を祝えます これもわが主の あらたな祝福
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どの人も 愛をその胸秘めたりし 生命いのちなるかな 奇跡なるかな
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枝炭えだずみの はぜりておこはしり火の にはかぼたるとなりてのぼらゆ
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川絶えず衣ずしりとなりにける垂水たるみもかくや背腹せいはらの汗
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ヂャッガリリ前歯がとらえ砕くのは胡椒の粒か卵の殻か
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