自販機の缶コーヒーに手を伸ばしボタンに触れてから気づく つめたい
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やうやうと 白くなりゆく 山際に  妬けて夢して 友なら無国なくに
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結わんとて 今日も平気は あるものを  目に咲たるは 紫陽花の露
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不可算の地層のようにかさなったことばを絶えずめくるゆびさき
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冬越えて 半年振りの 土いじり 鼻抜ける風 大地の香り
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満月のうらがわにいるきみだけが届く星座で描くものがたり
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屋久島行き フェリーの長き四時間は 悠久杉の刹那の一欠片ひとかけ
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若き頃純粋過ぎたこの気持ち 怖いものなど何もなかった
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苦しくてつらい気持ちも湧いてくる 想う気持ちが増せば増すほど
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交渉の行方は依然不透明結果よ早く笑えたらいい
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もう少し 食事やしない おむつ替え しても良かった… 無念の介護
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リハジムに陣中見舞う母の影 あなそっくりや憂ふ婆さま
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文庫本『科学するブッダ』に導かれ瞑想するまま眠りに落ちぬ
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満開の桜をみんな撮りたがる今日考(とう)さんに妣(かあ)さんになり
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料理は私の体作ってる熱い唐揚げ貴方にアーン
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あっ蛇腹カメラで撮っている話しかけたら作詞家と僕もだよ
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あら偶然 陶器婚式 三日後です 夫婦茶碗は割りそで躊躇す
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柔軟剤 変えたその日は慣れずじまい 知らない香りにドキリとする春
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悲しくて せつなくても 明日には 君は眩しく きっとまた輝く
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木漏れ日を眺めるままに移ろいて そうして季節が終わったらいい
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批判的中傷投げるネット上。生活保護は怠慢じゃない
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雨を受け 緑は深く さらに濃く 若葉らと待つ やがて来る夏
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観る前に 見たい映画の 情報が 気をつけないと ネタバレ注意
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濃かったら薄めて色を塗ってみるせかいを変える水になりたい
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疲れて犬が寝そべる スカートの裾は正した
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手探りで思い出そうと手帳みる去年のいまはなにしていたか
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”おやすみ”を待っていたけどもう限界 明日の朝は”おはよう”ちょうだい
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しばらくは己を慰む夜が来る 涙を拭かぬも指は濡れるや
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「愛してる」息子たちには無条件 迷わず言える見返りいらない
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息子らがカメラの話で盛り上がる 隣で微笑み幸せかみしめ
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