子どもらがヤマベの稚魚を放流と短い夏のたよりが届く
21
親友と 思い出浸る 歌うたう 昔から今 時間じかんは進む
15
窓開けば紅のダリアが躍り込むいつも傍にと変えぬ約束
17
生きおれば せんなきことも多々あれど どうにかは成る 戦争以外は
28
三月みつきぶりのデンタルケアの帰り道、真夏日なのに妻は餅買ふ
7
初めて希死念慮を抱いたのは小3でしたと言えばマウントがとれます
6
短命の 蝶さながらに 羽ばたいて 空より青い 波をも立てる
17
広角を 射程に入れる 試みは 高みの構え まるで神主
10
話しベタな君が話すスキを聞きたい そんな私は聞きベタだけど
9
昨日まで押し殺していたあの歌が あなたの声で頭に響く
6
特別に名前があってもなくっても えにしはなかなか変わらぬようで
7
自慢かな?って言ったらきっと白けるし もう結論は出てるようだし
13
掌をなぞる仕草が懐かしい 握りしめたくなっちゃうじゃんか
8
ともだちの恋愛事情を聞きながらマンガを縦にスクロールする
16
今ここで うん、と言えたら楽だけど 夜風にちらつく くぐもった日々
6
もし君が、犬の姿でなかったら これほど愛しく思えたろうか
18
あなたにはあなたの言い分あるでしょう わたしにもあるの だからほっとけ
10
恨みをさ 塩振りこねて焼いたらさ 美味しく喰えたりしないだろうか
6
早く寝よう もう早く寝よう 早く寝よう 打ち込む指が 眠気とダンス
6
会社では私の中の怪獣を いなして生きてる このビルいつ踏む?
12
立ち方が死んだ親父にそっくりと 親戚の奴等が口々に言う
9
人生で一度は飲みたい赤ワイン from神の血 救いの液体
8
強面の上司の私服初めて見 着せられているGAPに笑う
10
子供らとなんでも話す仲だけど 元嫁のことは何も聞かない
8
少しずつ君の背中を触ること慣れてきたのに必要ないね
4
ランニング カロリー減らす ため走り お疲れ様。と モグモグタイム
4
帰り道歩きスマホをする俺に 危ないよ〜と元嫁の声
4
履歴書の ブスの女の 顔加工 お絵描きアプリで 眉毛を描いた
5
梔子くちなしの 香りの運ぶ 思い出は 少女時代の 詩への憧れ
32
筆に墨つけし後から迷いなく 和紙に世界を作る百七(篠田桃紅展にて)
7