片付けは苦手だけれどフィルターをほじくる事はとても楽しい
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いつまでも待っても待っても福こない 泣き笑いではダメだったみたい
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玉ねぎの不作を聞きしあくる日は直売所へと一走りせん
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小さな花に どれだけ癒されているか… 金木犀もくせいに感謝の秋
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積み上げたブックカバーが知っているどこかに消えたその日のわたし
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片付けを開き直った午前二時いったいどこで寝ればいいんだ
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夏が過ぎ君はもうどこにもいない名前つけたくなるよな夕陽
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函館山 紅葉のように 転勤の 不安も期待に染めてくれ
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換毛期 キャットタワーのてっぺんで カイカイすると ふわふわ毛が舞う
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一杯の桂花陳酒を秋空に旅立つ君よ更に尽くせと
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マットレス三つ折りにして座布団に 漢方薬と愚痴を呑み込む
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旅をして友と語らい酒を呑む 老いの理想を知った独房
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爪楊枝暇が生み出す使い道引き戸レールのゴミの掻き出し
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本当に大事なことは決められず時間ばかりが前を向いてる
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生まれてはじめて感じる重力がこころの重さを教えてくれる
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むばたまの 夜長よながしらむる朝まだき 秋寒あきさむ空のあをはさやけし
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やりきれずやってみたれば効いたのか思ったりするテロリズムかな
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窓辺にて不意に香りし木犀花 帰らざる日へ我を攫いき
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我が夫 雇われ社長になるらしい 零細企業で不安が勝る
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八時までにご飯を食べて 十時からは水しか飲めぬ 健康診断
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ペン立てに並んで収まっているからそのトラウマはもう脅威じゃない
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夜は冷える グラタンでご飯食べたいな えびとチーズの冷凍でいい
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神社寄り 母の手術の礼を述べ 今後ともよろしくお願いします
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したい事楽しむためには金が要り したくない事今日も頑張る
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散らばりし 座学メモらよ つどいたもう 生まれ変わらんおとぎ話
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座布団に 浮かんでいたいと 西日舟 うたた寝の君 「秋刀魚焼けたよ?」
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ジェネリック猫として抱きカシミアの毛布のヤギの尊厳を消す
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諦めず 探して見つけたモンブラン 二人で分ける ひとつの山並み
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落花生 初もの茹でる喜びに ビール出すのはまだちと早い
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折れそうになって大きく息をした 心で何か聞こえた気がした
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