月の歌。僕は月に恋してる。君の面影、月に重ねて。
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公園で蹴鞠をするよ子供たち。イチョウの香り身に纏いつつ
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吹き荒ぶ十一月の風の日にパフパフ鳴らす豆腐屋の音
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公園の秋の香りを吹き抜ける。風のように元気な子たち
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秋風や昔々の悲恋かなこの赤この黃散る一話ずつ
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ニセモノがホンモノみたいな顔をして十一月の雨こんなにもやさしい
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寄る辺ないテーブルひとつ用意してぬくもりみたいな鍋を囲もう
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無能でも生きていいのだ俺を見ろ、と言えるほどの無能でもなく
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信号待つ私がメロスだったならこの空の赤を君と見れたのに
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昨日から続く明日が今日ならば、私は私をいつやめようか
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霜柱踏まれさっくり音鳴らし何かを支えることもないまま
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野良猫と海の香りとキオスクとあなたと暮らすこの街が好き
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もう少し、もう少しだけと止まらぬ手 痛い目見るのは明日の私
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違うでしょ 叶わぬ恋の 辛さより 好きでいられる 幸せを
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ハムと雨 森を明るくする落葉 卵も空を飛べそうな曲
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液晶のゼロハチゼロをなぞる指 愛がこぼれてしまわぬように
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何を食べ誰を神様としてもよい 私を好きになってもいいし
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半世紀前のかさぶた取れました 秋の夜長の失恋記念日
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自分でも 恐ろしい程 物忘れ 老化劣化が 加速度を増す
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忘却と やる気のなさは 天性の 性格となり 老害となり
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引き出物は漆の菓子器これでまたひとつ揃った茶の間の設備
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サブスクの花と新聞とがこぼれ丁寧だったらしき失踪者
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次々とあなたの願い叶いますようにと銀杏きんの葉がいて降る
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夜明けごろ断捨離された者たちが小夜をともない打ち寄せてくる
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次々と 湧いて出てくる この思い まるで泉のようだが 美しくない
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君の手が愛せるものには定員があってわたしはそこにはいない
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渋柿や吊るすその手も皺の入り限界集落秋の編
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揺れている貴方の声に呼応して 月が欠け始めようとしている
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