ひさびさにきみを抱いだけばその頬からわずかに街の残り香がたつ
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突然に 飲みたくなるの わかるでしょ 私は今よ オレンジジュース
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門だけになった木造アパートに供えられてるコーヒーの缶
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確実に ただ一つだけ 言えることは 誰も幸せに 出来なかった
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君という 心の病を 患って 後遺症に 悩まされてる
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人間は番いを好むのか否か見れば見るほどよくわからない
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やることは山積みだけど捗るはパズルゲーのみ深夜2時半
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顔も見たこともないのに聞き慣れたラジオネームは友だちみたい
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目が合っただけでキスでもしたような甘い気持ちになる片想い
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今日こそは飛べる気がするビル達の風に煽られているペンギン
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妹の嫌いな味の八ッ橋のメモを片手に修学旅行
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隣まで溝さらいする母がいて皆に感謝され顔晴れ晴れと
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田掻く牛 牛久保谷戸で 控えめに 水を舐めるか 眼を細めつつ
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もういっそ君の心を縛りたい ランプの魔神もできないってさ
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世界一の顔だよねと言いたい 君は気づかない気づかないふり?
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寄りて見る痛々しさは、鬼罌粟の絳絳あかあかしきにセメントの降る
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鳥の巣が邪魔だと言われ破壊した 中はずいぶん温かかった
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泳げないきみは湯船に顔つけてちいさな海を両腕に抱く
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君の手の温度を知った午後三時 桜前線は止まらない
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斜め前の席に君がいない日の いつも通りの風が憎いよ
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きみが目を離したとたん月がとけてまた月になる話をしよう・
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クレジットカードの引き落とされる日は誰もが知ってる僕の誕生日
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30歳2で割れば15で3で割れば10の年齢
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人波にもまれればふと思いだす今ではとおいとおい潮の音
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中華屋のギョウザ一皿平らげるようにアタシを食べてった人
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赤信号渡るみたいな悪いこと 他の誰かと キスをすること
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やさしい手でそっと撫でられたまま 消息不明の未読一件
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サイダーの瓶越しに見るスカイツリー 満月をそっとビー玉にして
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空想の世界は毎秒崩壊し誓いのキスで億度目の朝
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壊れゆく全てを思う無花果のパフェを頬張る君を見ながら
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