まだき咲く花もありやと待ちかねて訪ねぞ来つる峰の白雲
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緊張で喉を通らぬ朝ごはん美味しい夕餉を夢見てドア押す
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川崎に広島弁の新人さん 淀んだ空気に瀬戸の海風
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蟷螂のオスの最期を知ってから君を少しく遠ざけている
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香気立ち春を覚うる沈丁花 木々の新芽も固さ緩めり
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春の精 つぼみに言うよ 朝だよと ねぼけまなこの 桜五分咲き
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「ぬばたまの」が夜の枕詞なら私の場合は「きらりらの」にして
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氷点下十度を超えて三月の終わりが見えても春は見えずに
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墜ちる白鳥とり それでも君らプロだろう 子どもら魅せろ 意地と誇りを
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春色の汽笛を聴き、土の匂いでごぼう食べたいなぁ
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さくらはいつさくのなか、ことしはまたさられ、かいかたのしみなり
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孫も愛犬も、それぞれ可愛い、人生の楽しみふえると、こころ豊かになり、
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始発なんとなく🈵、次駅で座れ、いす座禅はじまり、はじまり
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春陽あび自転車のタイヤに空気入れ磨きしついでに今年の初乗り
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日のひかり 澄みきった水 そよぐ風 おくれて気づく そのありがたみ
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23歳、化粧崩れを気にしてロクに泣けなくなった
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もう4月に差し掛かるっていうのにいまだに夜の散歩は肺が凍る
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いつでも使えます!プリペイド式の感動を
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まどろんで 右手のスマホ 陽を受ける 君の通知で 乱反射する
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腕の毛を剃らなくていい日は楽で 剃りたいと思う日は楽しい
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端末に送られてくるお祈りにどうりで言うのか「お客は神様」
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夢乗せて走る列車は気づかない諦められたイヤホンの数
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飛ぶ蝶にああなりたいと願うのに飛ぶ蚊を潰して「だって痒いし」
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もう解ける雪を削りて滑走す夕陽の注ぐ春のゲレンデ
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枝先の蕾は皆にジロジロと 覗かれ 照れて赤が差す頃
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顔伏せて 帰ってしまおう 駆けたのに 抱き寄せられて こぼれる涙
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オパールになるよりながくつれそって ひとつの宝石になりましょう
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近頃は踏まれて強し雑草も「良いクスリ」から骨抜きになる
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人生にペケがついたらつまづいた轢かれて潰れそこで終わった
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人生は取り戻せないものだから後悔せずに恨みもせずに
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